ローグは「やさしいエピック」なのか?
「ローグには3種類のヘッドがありますが、今回はもっともやさしい『ローグ スター』と、逆にもっともハードヒッター向けである『ローグ サブゼロ』をテストしました。まず最初にお伝えしたいのは、両者は同じローグというカテゴリーでありながら、まったく違うターゲット層に向けたクラブだということです」(菅谷プロ)
2017年最大のヒット作「エピック」にも、スター、サブゼロというカテゴリー分けは存在した。しかし、今回のローグは、さらに両者の差別化が進んだと菅谷プロは分析する。
両者の違いを理解するために、まずはローグシリーズのメインモデルであるエピック スターのインプレッションから聞いてみよう。
「『ローグ スター』は見た目から大きく、安心感があります。実際に打ってみると、見た目の通り球も上がりやすく、スライスも出にくい。弾き感のある打感でヘッドスピードが40m/s前後で打っても、十分にボールを弾き返してくれる感触があります。スピン量も2800~3000回転くらいは入る(かかる)ので球も上がりますし、しかも横方向ではなく縦方向のスピンが入りやすいことで、曲がりの幅も少ないですね」(菅谷)
飛距離を伸ばすにはスピン量が少なければ少ないほうが有利と思われがちだが、ヘッドスピードによってはスピンが少なすぎるとボールがお辞儀(ドロップ)したような弾道となり、かえって飛距離をロスしてしまう場合がある。ローグ スターは、適切なスピン量が得られることで、安定した弾道が得られる仕様と言えそう。メーカーの製品発表の大意は、「ローグは、やさしくなったエピック」といったものだったが、その言葉通りの性能だ。
「ローグ スター」の試打データは下記の通り。非常にボールが上がりやすく、スピン量はやや多めで安定した弾道。ボール初速も高い数字が出ている。
飛距離268.1Y
ヘッド速度46.6m/s
ボール初速67.75m/s
打ち出し角16.5度
スピン量2900pm
「この打感、絶品ですね」
では、もう一方のローグ サブゼロはどうか。ネックには調整機能が搭載されている以上に、そのヘッド性能はスターと大きく異なる。
「見た目もシャープで、左に行かないように見えることからヘッドスピードが速い人向けに感じます。打ってみると、打感が絶品なのに驚かされました。軟らかく球が吸い付いて潰れるような感覚で、コントロールできそうに感じられるので、パワーヒッターでも思い切り叩いていけます。また、決して難しいクラブではありませんが、球が上がりやすいとは感じませんでした。実際にデータを見ても、『スター』に比べると同じ10.5度であって打ち出し角は低い。弾道の高さ、飛び方を見ながらネックの調整機能やソールのウェートの前後を入れ替えたりして、仕上げていくイメージですね」(菅谷)
データを見ても、同じ「ローグ」でありながら、スターとサブゼロではまったく異なる数字が出た。打ち出し角は約3度低く、スピン量は約700回転少ない。飛距離差はほぼなかったが、サブゼロの場合は叩けば叩いただけ飛距離が伸ばせることが、計測力はうかがえる。
飛距離267.4Y
ヘッド速度47m/s
ボール初速69.4m/s
打ち出し角13.5度
スピン量2202rpm
では、試打を終えて、それぞれのクラブはどのようなゴルファーに向くのか、菅谷プロにまとめてもらった。
「ヘッドスピードが42m/sくらいまでの人が最大の飛距離を得られて、なおかつ球が上げやすくスライスしにくいのは『スター』。ヘッドスピードが速く、振れる人には『サブゼロ」をおすすめしたいですね。でも、ヘッドスピードが速くなくても、スピン量が多すぎる人にはネックの調整機能を使うことで『サブゼロ』の方がデータがよくなることもありそうです」(菅谷)
大ヒットモデルであるエピックを「超える」というテーマで開発されたという今回のローグ。新年早々、主役級のクラブが登場した。