初日を首位タイで終えた谷原秀人、欧州ツアー制覇なるか?
米ツアーのフェデックスカップ(年間王者レース)に当たる欧州ツアーのレース・トゥ・ドバイランキングで昨年27位に入っている谷原。実は我々が思っている以上にヨーロッパでの知名度が高い。
そんな彼が現地時間18日に開幕したアブダビ第1ラウンドでノーボギーの6アンダー66をマークしフリートウッドと並び首位タイの好発進を切ったのだ。
欧米メディアは「マキロイ・イズ・バック」的な記事をトップで扱おうと目論んでいたが、谷原の完全に主役を喰う活躍に急遽インタビュー要請が殺到。ちなみにマキロイの初日は首位に3打差の17位タイとまずまずだった。
米ゴルフチャンネルのインタビューで谷原は「ノーボギーだったしパットが良かったです。すごくタフなコースなのでフェアウェイを外すことが多かったけれど、上手く攻略できたかなと思います」と冷静に振り返った。
18ホール中5ホールでグリーンを外したものの、そのすべてでパーより良いスコアをマーク。2度チップインを決めるなど粘り強いプレーはショートゲームの上手い谷原の真骨頂だ。
昨年の国内ツアーでは賞金ランク55位に終わっているが、実は欧州での獲得賞金は124万ユーロを超えていたことはあまり報道されなかった。日本円に換算するとおよそ1億6800万円! これは国内2位の小平智を600万円以上上回る額である。
一昨年、池田勇太と賞金王を争い惜しくも2位に終わった。だが熾烈な戦いを繰り返すなかで世界ランクを上げ自らの手で海外への扉をこじ開けた。そしてWGC-デルテクノロジー・マッチプレーでベスト4進出を果たすなどきっちり結果を出してきたのだ。
まだトーナメントは始まったばかり。優勝うんぬんを語るのはまだ早いが、本人のなかでははっきりと目標が決まっている。
「勝つためにチャレンジしていますし、青木さん以来の(欧州ツアーの)優勝を目指しています」
気負いのない自然体で発せられた言葉だからこそ現実味があると思ったのは私だけではないはずだ。
1983年ヨーロピアン・オープンを制した“世界のアオキ”こと青木功の後継者となるべくヒデト・タニハラが走り始めた。
写真/姉崎正