ツアー解説者としてもお馴染みのプロゴルファー・タケ小山は、同じゴルフ中継でも、NHK・地上波・専門チャンネルにはそれぞれ特徴があると言う。「ゴルフが上達」する正しいチャンネルの選び方を、著書「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」からご紹介しよう。

人気選手のプレーを効率よく観戦できる民放局

多くのゴルファーが「ゴルフを見る」ときに、真っ先にチャンネルを合わせるのは、おそらく地上波で放送している国内ツアーでしょう。

地上波の場合、NHKでは「ナショナルオープン」といわれる日本オープンと日本女子オープン、それに日本ツアー選手権(前身の大会はPGAフィランソロピー)を中継していることは、説明するまでもないでしょう。

NHKのスポーツ番組に対する姿勢は、基本的にライブを重要視しています。ですから、試合の流れをしっかり追えるし、録画編集ではないので、臨場感を味わえます。ただ、放送時間の枠に限りがあるので、どうしても試合途中からの中継になってしまう。また、ゴルフ中継が年間3試合しかない。それがちょっと残念なところです。

画像: NHK、民放、CSでそれぞれ特色があるとタケ小山

NHK、民放、CSでそれぞれ特色があるとタケ小山

一方、地上波の民放局の場合は、人気のある選手を中心に放送する場合が多く、例えば、「石川遼選手の今日のプレーはどうだったかな」「池田勇太選手のスウィングが見たいな」というファンには、効率よくたっぷり見ることができます。

しかも、スーパースローカメラで撮ったプロのスウィングを、じっくり見ることができたり、データ放送でスコアの詳細がすぐ検索できたりもします。しかし、優勝争いにまったく関係ない選手でも、人気がある、試合を主催しているスポンサーと契約している、という理由だけで、何度もハイライト映像を流すということもよくあるので、ゴルフというゲームを楽しむという部分では、少し物足りなさを感じるファンもいるかもしれません。

試合の流れを重視するCS局

ゴルフというゲームは、4日間72ホールで争わせる、マラソンのような長丁場のゲームです。初日のスタートホールの1打目から、最終日最終ホールでカップインするまで、1打1打をすべて追っていくことで成立するドラマだと考えれば、やはり、臨場感もほしい。そういう面で私がオススメしたいのが、CSゴルフ専門局です。

CS局の一番良いところは、なんといってもライブで見られるということでしょう。世界最古のメジャー大会・全英オープンも、初日のトップスタートの組から、最終組がホールアウトするまで、完全中継してくれる。ですから、テレビ画面を通してでも、ライブ感が味わえます。

中継は、試合の流れと優勝争いが、何よりも重視されるので、日本の地上波のように、画の作りとして面白い、スポンサーへ配慮する、という観点から映像を編集していくことはありません。たとえタイガー・ウッズ選手が出場していても、優勝争いに絡んでいなければ、ほとんど出てこないし、もちろん1日のハイライトを流すこともない。ホール・バイ・ホールの結果だけ見せて、早く解説しておしまいです。

実は、タイガーが全盛の頃、アメリカでも生中継でタイガーばかりを映していた時代が少しだけありました。しかし、視聴者から「優勝争いを見せろ」という苦情が相次いで、次第にもとの勝負重視の中継に戻ったという経緯があります。

そういう意味では、欧米のゴルフファンは、スポーツ中継の本質をちゃんと理解していて、間違ったことは、はっきり「ノー!」といえる。

日本でもCS局のような生中継が主体になっていけば、ファンの意識も、これまでの「人気のある選手が見たい!」から、「純粋にゴルフのゲームが見たいんだ!」というように変わっていくのではないでしょうか。ゴルフの見方が変わり、それが、日本のゴルフ界全体の成熟にも繋がっていけば最高ですね。

「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/三木崇徳

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