ティアップ。ゴルファーならば、ほぼ無意識に行っている人が多いはずのこの動作に、プロゴルファーたちは常になにかしらの“一工夫”を加えていることが取材で判明。細かすぎるが役に立つ、プロの裏技を教えてもらった!

「どこに」「どうやって」ティアップするか、それが問題だ!

プロゴルファー7人に「ティアップに一工夫していますか?」という同じ質問をしてみたところ、出るわ出るわ、細かすぎるけど試したくなる答えが返ってきた。どれもが個性的な意見だったが、それらは大きく2つに分類できる。「どこにティアップするか」と「どのようにティアップするか」だ。それぞれ見ていこう。

まずは、「どこにティアップするか」に一工夫するパターン。

「基本的にはフラットなライを選ぶんですが、打ち上げのホールは右が低い場所を探してわずかに左足上がり、打ち下ろしでは左が低い場所を探してちょっとだけ左下がりの状態を作ります。そうすると、打ち上げでは高い球、打ち下ろしでは低い球が打ちやすいですから」

と語るのは阿部大輔プロ。ティグランドは、平らに見えて微妙な傾斜があるもの。そのあるかないかの傾斜を利用するという“裏技”だ。

「僕は、つねにフォローの風でボールを乗せられるように、右からの風のときは右側に、左からの風のときは左側にティアップします。そうすることで、フォローの風を利用できますから」

そう言うのは飯沼大輔プロ。一言でアゲンストといっても、真正面からの向かい風はなかなかないもの。わずかな風さえも味方につけようという、これもプロならではの知恵だ。

「パー3では順目のライを探してティアップします。逆目だと引っかかるイメージがでるから」(船越紀之プロ)という意見も。ティグラウンドも芝刈り機で刈り込む以上、刈った方向に芝が流れる。その芝目がターゲット方向を向いている場所にティアップすることで、アイアンショットの抜けが良くなるというわけだ。

画像: さりげなく行っているティアップ。実はプロたちは見えない工夫を施していた

さりげなく行っているティアップ。実はプロたちは見えない工夫を施していた

「たとえばティグラウンド右サイドに立ってフェアウェイ左を狙うといったように、対角線に狙うとフェアウェイが広く使えていいなんて言われますが、対角線に構えると曲がりの幅が大きくなり過ぎるときがあるんです。なので、ちょっと曲がりが大きいなと感じたら、たとえば持ち球がスライス系なら右サイドがやや広くなるようにティグランドの左側に立ち、練習場の打席をイメージして、真っすぐ立つようにします」

そう教えてくれたのは三井純一プロ。スライサーの人は、基本は対角線狙い、それで曲がりが大きくなりすぎたら左にティアップして真っすぐ狙い、と覚えておくといいかも。

続いては「どのようにティアップするか」に工夫を加えるパターン。まずは深沢尚人プロの意見。

「ティアップしたときにグリーン上と同じようにボールの線をターゲットに合わせるようにしています。ターゲットに対してスクェアに構えられますから」

グリーン上で打ち出したいラインにボールの線を合わせるのは多くのゴルファーが行っているが、これをティグラウンドでも行う。とくに、ドッグレッグのホールなど、打ち出したい方向をシビアに整えたい状況で有効だという。

つづいては、“真逆”の意見をご紹介しよう。

「パー3ではティアップしないで打ちます。パー4やパー5でフェアウェイから打つのと同じように、しっかりとダウンブローで打つことができますから。アマチュアの方で、アイアンでティアップするとすくい打ちになってしまう人に有効ですよ」

と、前出の深沢尚人プロが言えば、宮内希幸プロの意見は、まさに真逆。

「パー3でアイアンで打つときは、ティアップを高めにするんです。高くティアップした場合、すくい打ちは絶対にNG。あえて高くした上で、すくい打ちしないように意識すると、しっかりダウンブローで打てるんです」

画像: すくい打ちを防ぐため、あえて高めにティアップ。ショック療法的な“一工夫”だ

すくい打ちを防ぐため、あえて高めにティアップ。ショック療法的な“一工夫”だ

“すくい打ちをせず、ダウンブローで打つ”という目的は同じながら、そのやり方が真逆なのが面白いところ。これは、自分にとってしっくりくるやり方を試したいところ。また、パー3でのティアップに関しては、橋爪力プロも面白い意見を聞かせてくれた。

「パー3ではティアップしたら少しターゲット方向前後に動かし、グラグラにさせておくんです。そうすると、芯を外して打ったときにヘッドがティに当たり負けしにくくなります」

ダフリ気味に入った場合に、ティ自体が“杭”的に作用し、ヘッドの抜けを阻害する。あらかじめティをグラグラにしておくことで、その作用を軽減するのが狙いだ。うーん、細かい!

いよいよ最後は極め付きのティアップ法。同じ橋爪プロによる、メンタルに作用するやり方だ。

「池越えだったり、プレッシャーを感じたときは、いつもとは逆の手でティアップするんです。そうすると、ティアップ自体に“気をとられる”から、緊張感が和らぐんです」

いかがだっただろうか。何気なく行っているティアップひとつに、プロはそれぞれ極めて細かい工夫を施していることがお分かりいただけたはず。上手いだけじゃく、こんな些細な部分にまでこだわるからこそ、プロはスコアを守ることができる。我々アマチュアも、大いに参考にしよう!

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