ロフト9度から4度ピッチでならべていくと57度まで13本
クラブセッティング。ルールで認められたラウンドに携行できる「最大本数14本」をどう組み立てていくのか。興味深くも悩ましいゴルファーの関心事である。しかし、よく考えてみれば、クラブセッティングの土台は今も昔も変わってはいない。ロフト9度から4度ピッチでならべていくと57度までで13本。これにパターを加えると14本になる。ロフトの組み合わせ、という観点でみれば、1950年代も2018年もまったく変わっていない。変わったのは、特定のロフト領域のクラブのカタチや番手表記だ。
例えば、かつてはロングアイアン(3番)をあてがっていたロフト25度前後。今ではショートウッド(ロフトの大きいFW)やユーティリティがその代用となり、アイアン形状はそのままだったとしても、ソールに刻まれた数字は6や7だったりするわけである。
簡単にいえば、上がりにくいロフト領域を、同じロフトでもっと上がりやすい構造の新クラブを開発してきた。それがゴルフクラブ開発の進化であり、歴史だといえる。
100ヤードを打つクラブがない!? 番手ズラしセットの当たり前現象
ディスタンス系アイアンと呼ばれ、超ストロングロフトのアイアンセットが登場すると、ロングアイアンは完全に無用の長物となった。6番がかつての3番、7番がかつての4番のロフトになったわけだから、3番、4番が消滅して当然だ。ロングアイアンでカバーしていたロフト領域は今やミドルアイアン表記の番手に置き換えられたのである。
ロングアイアン領域がミドルアイアンに置き換えられれば、同時にかつてのミドルアイアン領域はショートアイアンが担うことになる。それでは、かつてのショートアイアン領域はどうなるの!?
「100ヤード打つクラブがないじゃん!」
ストロングアイアンを見たベテランゴルファーの多くは、そう嘆く。たしかにピッチングウェッジのロフトが 38度や39度となってしまうと、これまで9番やピッチングで打っていた距離を打つクラブがなくなってしまう。53度(アプローチウェッジ領域)、57度(サンドウェッジ領域)のクラブは、今も昔も変わらずセットに入っている。13本を構成するロフトのうち、45〜49度を埋める番手が、今どきのアイアンではなくなってしまったのだ。
ロフト45度前後の番手、ぶっ飛び系で人気を博すキャロウェイのエピックスターアイアンでは、AW(44度)、GW(49度)となっている。ぶっ飛び系のパイオニア、ヤマハ・インプレスUD+2では、AW(43度)、AS(49度)だ。
ロングアイアンが担っていたロフト領域をミドルアイアンが担当することによって、あらたにショートアイアンの代用が必要になった。それが今である。気がつけばキャディバッグには、50年代と変わらぬロフトの13本とパターが入っている。ゴルフをするために最適なロフトの組み合わせ、土台は変わらない。上がりにくいな、と感じるロフト領域をどんなカタチの何番に代えていくのか。それがゴルファーそれぞれのクラブセッティング。クラブ進化の見極めどころである。
ストロングロフトの飛び系のアイアンを飛ぶ7番アイアンという捉え方をするのではなく、昔で言えばロングアイアンとなるロフトの立ったアイアンでもきちんと高さを出すことができている。それが最新アイアンの革新性に対する正しい捉え方ではないだろうか。