2018年3月6日にプロギアから発表されたばかりのアマチュアお助けクラブ「Qシリーズ」。プロギアレディスのテレビ中継で盛んにCMが放送されていたから、気になっているという人も多いはず。お助けクラブというとバンカー用、アプローチ用などが多いが、これは「窮地からの脱出用」をうたう珍しいクラブ。果たしてその性能は!? 生粋のギアオタクがテストした。

本当に救世主と呼べる代物なのか

みなさんこんにちは。ゴルフ界器用貧乏の小倉勇人です。現在千葉県でゴルフショップ「ゴルフフィールズ ユニオンゴルフ店」の店長を、他にもクラブフィッター、クラフトマン、ゴルフを中心とした執筆業、雑誌やウェブでクラブのテスターなどもやらせて頂いております。

今回は、悪いライからのショットが苦手で3回に1回ミスするという後輩が「プロギアがお助けクラブと銘打っているQシリーズって私みたいなのでも上手く使えますか?」と相談してきたのでこのクラブについて触れてみます。

画像: フェアウェイウッド形状のQ18とQ23

フェアウェイウッド形状のQ18とQ23

このクラブが発表されたときに思い出したのが、マルマンの「シャトルダブルチタンフェアウェイウッド」。今はもう生産中止となっていますが、アイアンが上手く打てない・苦手な人に対してのお助けクラブとして登場しました。

ユーティリティではなくフェアウェイウッドだったのでパワーがなくてもボールがよく上がってとても楽なクラブでしたね。実際に打ってみると7、9、11、13Wまであってウッドが苦手な人でもボールが上がりやすくとても使いやすかった記憶があります。

また、ヤマハの「UD+2」もパワーがない人にとってのお助けクラブと言えるでしょう。ドライバーをはじめ、シリーズを通してつかまりの良さを追求していて、持っているパワーを効率よく飛距離に替えてくれるモデルです。とくにアイアンはびっくりするほど飛びます。飛距離に悩んでいる人にはまさに救世主なクラブ。

画像: ヤマハのUD+2も飛距離に悩んでいる人の立派なお助けクラブ

ヤマハのUD+2も飛距離に悩んでいる人の立派なお助けクラブ

お助けクラブの元祖と言えばチッパーが思い浮かびますが、チッパーはアプローチに特化しているクラブ。スウィングするクラブでここまで「お助け」を前面に押し出したクラブはこのQシリーズが初めてではないでしょうか。それだけに、本当にお助けなのか、どこがお助けなのか、これを使うメリット・デメリットが気になるところ。

Qシリーズは従来のクラブと考え方が異なっていて、番手という概念がなくウェッジのようにロフト角がそのまま番手の表記になっています。Q18とQ23がフェアウェイウッド形状で、Q28とQ33がユーティリティ形状です。

各クラブが色分けされていて、Q18(赤Q)、Q23(橙Q)、Q28(緑Q)、Q33(青Q)とわかりやすくて良いですね。キャディさ~ん青Qちょうだ~いという声がコースで聞こえてきそうです。長さは一般的なフェアウェイウッドやユーティリティに比べて短めに設計されており、いたずらに飛距離を追求せず、悪いライからでもミート率を高めて、安定した弾道を打つということに長けています。ここがひとつの大きな特長でもあります。

個人的にはこの手のクラブは大好物です。コンセプトは、「窮地(Q地)」からの1発脱出! ギャグです。ギャグも好きですが、このクラブは悪条件、悪いライから起死回生のリカバリーショットを打つために設計されたという訳です。悪いライでミスが多いという前出の後輩にはピッタリのクラブだと思います。

ヘッド構造はなかなか凝っていて、Q18とQ23はクラウンとフェースにチタンを採用し、高重心になりやすいディープフェースにV字ソールを採用しながらも重心を最適な位置に設計することに成功していて、ボールの上がりやすさと適度なスピンを実現させています。ロフトのあるQ28とQ33は、フェースにマレージング鋼を採用し、こちらもただ上がるだけじゃなく安定した飛距離を出せるように最適な重心に設計されています。

画像: ソールがV字なのが分かる

ソールがV字なのが分かる

注目すべき特徴がソールの形状。フェース面から見てV字に切れ上がっています。これは深いラフであれば、接地面を減らすことで摩擦抵抗を軽減させヌケが良くなり、傾斜地であれば、ヒールやトウ側が削られているため、つま先上がりつま先下がりどちらでも接地面が少なくて済むため方向性が良くなるというわけです。

もうひとつ注目したい所がFP値。つまり出っ歯具合(注:フェースのリーディングエッジが、シャフトの延長線上よりもターゲット方向に張り出している度合い)です。どのモデルもかなり出っ歯になっています。出っ歯だとボールに直接コンタクトしやすくなり、ボールが上がりやすくなるメリットがあるので、無理に上げようとしたりせずともやさしくボールをほじくり出してくれるのです。

画像: 分かりやすい出っ歯モデル

分かりやすい出っ歯モデル

ただし、強い出っ歯のモデルは、ボールに当たるタイミングが早くなるので、あまりボールを右足寄りにセットしすぎると、ミスになる可能性があります。ボール位置はいつも通りか少しだけ左足寄りに置くぐらいでOK。後はクラブがしっかり仕事してくれます。

ではデメリットは? と言うと、飛距離を追求したクラブではないというところ。フェアウェイからでも打てますが、そんなに飛ぶわけではありません。また、先ほど書いた通り出っ歯なので、ウッド類が苦手な人にはちょっとしたコツが必要かもしれません。

個人的には、タフギア! 的なザラザラした仕上げもお気に入りです。ガンガン悪いライで使いたくなりますね。番手の概念がないので、苦手な距離に合わせてモデルを選ぶも良し、得意距離に合わせて選ぶも良し。短いので女性でも使えますし、重いと感じる場合には軽めのライトシャフトがあるのでそちらを使えばOKです。むしろ女性だったらドライバーの後はこの4本で、あとはウェッジがあればいいスコア出ちゃうかもしれませんね。

相談してきた後輩のように悪いライからのショットが苦手な人はもちろんですが、ラフ、ディボット、ベアグラウンド、フェアウェイバンカーなど1本あるとゴルフがかなり変わりそうなクラブです。ここに特化させたプロギアの勇気がスゴイですね。これはまさしく「お助けクラブ」と言っても差し支えないでしょう!

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