回転力の強いタメ過ぎないスウィング
2016年に「マンシングウェアレディース」のドラコン大会に出場した際、アマチュアでオープン参加ながら250ヤードを飛ばし、飛ばし屋の片鱗も見せていた三浦選手。2018年の開幕戦で自身の運動能力についてインタビューしたところ、「高校時代は短距離は2位でしたけど、マラソン大会では1位でした!」(三浦)と答えてくれたように、運動能力の高さは折り紙付き。
スウィングのポイントは2点。ひとつはダウンスウィングです。松山英樹選手や世界ランク1位のダスティン・ジョンソンもそうなのですが、トップで作った腕とクラブの角度がダウンで変わらないんです。
飛ばそうとするとプロはつい深くタメを作りがちですが、タメ過ぎると入射角が安定しないというデメリットがあります。腕とクラブの角度を変えずにスッと下ろしてくることで、入射角が安定し、ミート率がアップして、ボール初速はもちろん、スピン量や打ち出し角の数値も安定的にいい数字を出すことが可能です。
体の回転をしっかり使っていることも好印象です。画像2の写真左を見てください。トップでは腰の回転量よりも肩の回転量が多いのがわかるでしょうか? それと写真右のダウンスウィングでシャフトが地面と平行になる位置(ハーフウェイダウン)を見比べてみると、下半身はおへそがターゲットを向くくらいまで回転しているのに対して、肩のラインはターゲットと平行。まるでゴムが巻き戻るような動きです。
下半身が先行し、上半身がしっかり残っている。いわゆる“捻転(ねんてん)差”のあるスウィングで、この体の回転力が飛距離を生むと同時に、クラブを正しいスウィングプレーン(インパクトのときのシャフトの角度と平行な仮想の平面)に乗せることにもつながっています。
畑岡奈紗選手、勝みなみ選手、新垣比菜選手らと同じ“黄金世代”の一員である三浦選手。まだ勝利をつかむことはできていませんが、スウィング面は彼女たちと比べてまったく遜色ありません。三度目の正直で、次最終日最終組でプレーすることがあれば、そのときこそしっかりと勝ち切り、世代をリードする選手になっていってもらいたいですね。
写真/三木崇徳、大澤進二