今も現役生たちとのつながりを大切にしている
リッキー・ファウラーといえばオレンジ色のゴルフウェアですが、このオレンジは母校オクラホマ州立大学(OSU)のスクールカラー。そんな愛校心あふれるファウラーは、3月21日から開催された「WGC-デルテクノロジーズ・マッチプレー」にエントリーをせず欠場し、フロリダ州の自宅近くで開催された大学対抗試合に連日姿を見せていました。
優勝すると日本円で1億8000万円、仮に1勝も挙げられず予選落ちを喫したとしても550万円が用意されている高額大会をパスし、母校のゴルフ部員達と連日楽しい時間を過ごしてリラックスモード。
今も現役生とのつながりを大事にしているファウラー。そんな彼にインタビューをしてきました。当日もオレンジ色のシャツにOSU(オクラホマ州立大)ロゴの黒色帽子をかぶったファウラーは、母校の期待の1年生マット・ウォルフのプレーぶりを観戦していました。
アンディ:今日はプライベートな時間でしょうから、ツアーやメジャー競技の話はあえて避けます。大学・アマ時代やジュニアの頃の話を聞かせてくれますか?
ファウラー:それを聞いて安心しました(笑顔)。なんでも聞いてください。
アンディ:大学時代を振り返って何が一番懐かしい?
ファウラー:うーん、そうですね、ゴルフの部室で仲間とふざけて楽しんでいる時でしょうか……。 あ、でも仲間達の多くはツアーメンバーに昇格してきていて、今でもフロリダで釣りをしたりプレーしたり楽しんでるから同じか(笑)。団体戦は楽しかったけど、目標としていたNCAA(全米大学体育協会)で団体のタイトルを穫れなかったのは悔しかったですね。
アンディ:受けていた授業で一番難しかったのは?
ファウラー:インデペンデントスタディー(個人研究)で経済の授業を受けたことがありましたが、これは全然だめ、途中で断念(笑)、まあ僕の専攻は「ゴルフ」でしたから……。
アンディ:あなたは西海岸カリフォルニア州出身ですよね。 他の大学からのオファーを断ってオクラホマ州立大学を選んだ理由は?
ファウラー:はい、僕はカリフォルニア南部出身です。でも育ったマリエッタという所は内陸で小さい町でした。だからOSUのあるスティルウォーターは訪問時に気に入りました。もちろん地元カリフォルニアのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)やUSC(南カリフォルニア大)、UNLV(ラスベガス大)も候補でした。あとテキサス大も。最終的には、大学ゴルフ部が所有しているコースや練習施設が充実している所で決めました。
アンディ:あなたはアマチュア時代でもプロの試合に出場して良い成績を残したことがありましたが、大学を中退してプロに転向するという決断をしたのは、いつですか?
ファウラー:アマチュアの大きな大会で優勝して 、2008年にPGAツアーの「ヘリテージ」に参戦することができました。結果は予選落ち(70-76)でしたが、自分の中ではこの舞台でやっていけるという自信は得られました。もちろんその夏の全米オープンで4日間(60位)戦えたのも貴重な経験でした。ウォーカーカップ(アマチュアの英米対抗戦)に2度出場できたことも名誉で、最後のアマチュア試合としては最高でした。
アンディ:プロに転向するのは勇気がいることだし、周りの人たちの協力も必要ですよね。あなたが現在大学ゴルフ部でプレーしている選手やエリートジュニアに助言するとしたら?
ファウラー:良い質問ですね。うーん、僕の頃はPGAツアーの出場資格を得るQスクールが実施されていたけど、現在は下部のウェブドットコムへの道となる予選会でしょう。まずは急ぐ必要はないということ。それぞれのスピードでレベルアップしていけば良いと思います。大学ゴルフ界は選手層が厚く、開催コースもタフなので自分の位置づけがわかるでしょう。夏のアマチュア試合も充実しています。
僕のケースは稀で、幸いトントン拍子で好成績を残すことができました。大学の友人達、ピーター(・ユーライン)、モーガン(・ホフマン)、ケビン(・ツェー)とは異なる道でしたが、みんなゴルフを思う熱意があるからこそ達成できたんだと思います。今こうやって同じ舞台で戦えるのは嬉しいです。
PGAツアーでは人気選手筆頭のファウラー。その人気の秘訣はなんといっても同じ目線でファンやメディアと接する姿勢があるからこそ。会場に訪れるファンに対して声をかけたり笑顔で視線を送るシーンはファウラーやミケルソンが一番多いです。
「アーノルド・パーマー招待」では、大会ホストでもある故パーマー氏の孫、サム・ソンダースと共に、大会を支えていました。AJGA(アメリカジュニアゴルフ協会)でも多くの時間を費やしているファウラーは毎年11月にリーダーシップリンクスという年間を通じて寄付金を集めたジュニアたちとラウンドをする協力もしています。
「Give Back to the Game(ゴルフに恩返しを)」。今の自分があるのはゴルフがあったからこそ。そのゴルフに恩返しを、という姿勢を貫き、オレンジの愛校心を持ち続けるファウラーは熱いです。