現在の世界ランクは1位のダスティン・ジョンソンこそ33歳だが、ジョーダン・スピース、松山英樹、ジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム等々、20代の若手選手が全盛だ。そんな中プロ入りから20年のキャリアを持ち、今なお第一線級で活躍するのが37歳のジャスティン・ローズだ。昨年のマスターズでは2位に入り、今シーズンもすでに1勝を挙げるリオ五輪金メダリストの強さを、ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎が解説する。

感覚に頼らずにミスの原因を分析した

現在、世界ランクのトップ10には1位のダスティン・ジョンソンを含め30代の選手は3人しかいません。なかでも35歳以上のベテラン選手は、昨年のマスターズの最終日最終組で激闘を繰り広げた5位のジャスティン・ローズと、9位のセルジオ・ガルシアの2人だけです。

毎年のように新たな若手選手が出てくる中で安定した成績を残し続けているのは、ずばり「基本に忠実だから」ということが言えると思います。

画像: 2016年のリオ五輪では見事金メダリストに輝いた(写真/IGF提供)

2016年のリオ五輪では見事金メダリストに輝いた(写真/IGF提供)

ローズがプロとして活躍してきた約20年間、クラブやボールはより飛ばせるように、コントロールできるように変わり続けてきました。さらに近年では計測機器も進化を遂げて、新しいスウィング理論や身体の使い方も出てきました。そういった外部環境の変化にアジャストする能力が高いのは、基礎の部分がしっかりと構築されていることによるものです。

マスターズやオリンピックなど、異次元のプレッシャーがかかる大舞台で活躍できるものも、同じく基礎の力によるものではないでしょうか。

ローズのスタッツの中でも目を引くのが、パッティング関連の指標です。スコアに対するパッティングの貢献度を示す「ストロークス・ゲインド・パッティング」では5位、平均パット数では7位につけています。

画像: パッティングがローズのゴルフの生命線だ(写真/岡沢裕行)

パッティングがローズのゴルフの生命線だ(写真/岡沢裕行)

こうしたパッティングの礎を築いたのが過去にローズが5年間師事していた、テビッド・オーというパッティング専門コーチです。オーはローズの他にもハンター・メイハンらPGAツアーの選手を育てた実績を持っています。現在のローズのパッティングコーチを務めているフィル・ケニオンにティーチングを指導するなどティーチャー・オブ・ティーチャーとしても活動をしています。

画像: ローズが師事したオー。論理的な教えでゴルファーを導く(写真/姉崎正)

ローズが師事したオー。論理的な教えでゴルファーを導く(写真/姉崎正)

以前パッティングのレッスンは、ショットに比べて感覚部分が非常に重要視されていました。しかしオーのレッスンはそういった感覚部分に科学的なメスを入れ、パッティングストロークを6つの項目に細分化し、ミスの要因を分析をしていきました。

その結果「出玉が右に出た」という1つのミスでも、それがフェースの向きによるものなのか、ストロークによるものなのか、はたまた目線によるものかなどの細かい検証が可能になったのです。

ローズはオーの分析をもとに、パッティングの基礎から徹底的に見直しをはかり、ストロークを組み立てていったのです。ローズのストロークにはそういった裏付けがあるため、調子が悪くミスが起きたときにも原因を知ることができ、長期のスランプに陥るという事がありません。自らの動きを見つめなおすオーとの取り組みが、飛距離や勢いを武器に台頭する若手にも負けない安定感をもたらしたのです。

3年連続でマスターズではトップ10フィニッシュをしているローズ。今年も基本に忠実なストロークで、どのようにガラスのグリーンを攻略するのか注目です。

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