上達を阻む、陥りがちな6つの落とし穴
現在、44歳。21歳のときにゴルフを始めて、それなりに熱心に取り組んできたが、10数年、伸び悩みの時期を過ごした。しかし、ここ数年は順調に上達。ついに5下ハンディという望外の栄誉にあずかった。自分自身の反省を込めて、一般アマチュアゴルファーが陥りがちな上達の壁を紹介したい。
【1】ショットの良さとスコアの良さはイコールではない
90切り、100切りを目指すゴルファーの中には、練習場では驚くようないいショットを打つゴルファーは少なくない。しかし、スコアをまとめるには、必ずしもいいショットは必要ない。
ティショットは打てるところにあればいい。セカンドショットはトップでもいいから前に飛べばいい。アプローチでグリーンに乗せて、2パットならボギー。1パットのパーがいくつか取れたら、90切りはおろか、シングル入りのスコアも見えてくる。
【2】技術は知るだけでは身につかない
ゴルフ雑誌やレッスン本、最近はYouTubeなどでも優れたテクニックを知ることが出来る。しかし、知っただけで出来た気になるのは失敗の元だ。最近は、目新しい理論をひたすら追う人が多くなったように感じる。
藤井聡太六段の棋譜を見ただけで、彼のように将棋が強くなるわけではない。「4-3-3」や「3-6-1」などのシステムを理解しても、サッカーが上手くなるわけではない。しかし、ゴルフではそんな誤解をしてしまいがちだ。
私自身、雑誌や本を見てはあれこれ試したが、結局、身につかないことが多かった。闇雲に色々試すのではなく、ひとつの事を信じて、出来るようになるまで反復練習する必要がある。
【3】レッスンを受けて課題を明確にする
残念ながら、自分にとって有効な技術かどうかを取捨選択する技量はアマチュアゴルファーにはない。2〜3ヶ月に一度でもいいので定期的に同じ人にレッスンを受けて、取り組む課題を整理してもらったほうがいい。
私は、3年前から大本研太郎プロにコーチを受けたことで、体系立った技術を学べたと感じている。大本プロは今年のPGAティーチングプロアワードで最優秀賞を獲得した俊英だ。出来るなら、なるべくいいコーチに学びたい。
ちなみに受けただけでは、レッスンの成果は出ない。教えてもらったことが、半年後、一年後の練習によって、ようやく理解できるような体験が理想だ。
【4】恥ずかしがらずスウィング動画を撮る
カッコ悪い自分のスウィングはあまり見たくないものだが、練習の成果を確認するためにも、スウィング動画を撮ることを勧めたい。大胆に動きを変えたつもりでも、意外と同じような動きになっているのがわかる。
【5】クラブ選びは、扱いやすさにこだわる
個人的には、「自分に合うクラブ」という言葉はあまり好きではない。スウィングが良くなれば、大抵のクラブは問題なく扱えるようになる。癖のあるスウィングにクラブを合わせると、その悪癖は治らないだろう。
しかし、ゴルフは道具を扱うスポーツだ。もっと踏み込んで言えば、道具をいかにうまく操るかを競うゲームだとさえ言える。例えば、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンは、ウェッジの扱い方が誰よりも上手く、思いのままに操作できる。
だから、自分が操作しやすく、扱いやすいものを選ぶのにはこだわったほうがいいと思う。それにはスペックも他人が打った評価もあまり関係がない。
【6】ネクストプレーに集中する
丸山茂樹プロや宮里優作プロのキャディとして活躍した杉澤伸章さんに、この「ネクストプレー」を教わった。結果を振り返らず、次の一打に集中するという意味だ。OBを打って落ち込んだり、バーディーを取って高揚したりと結果に一喜一憂しては、いいプレーは覚束ない。
ガッカリするのは、自分が望む結果が得られないからだ。そうなると問題は、自分が描く好ましい未来にありそうだ。打つ前に結果を予想してしまうと、不必要に緊張したり、鼻息が荒くなって力んだりするが、これはまず、いい結果にならない。
いいスコアを出したり、いいショットを打ったりすることよりも、自分らしく、気持ちよくプレーできるほうが大切だと思う。自分なりのプレースタイルを確立して、ゴルフを楽しむことが肝要だ。それが結果的に上達につながると思う。
写真/野村知也、渡部義一