クラブセッティングはピッチングウェッジのロフト角が肝!
ツアーが開幕した直後は、よくゴルフ雑誌などに、選手たちのクラブセッティングが紹介されます。たとえば「週刊ゴルフダイジェスト」にも、「プロのスペック」という連載ページがあって、人気プロの使用モデルやシャフトはもちろん、全番手のロフト角や長さまで、かなり詳細なスペックを知ることができます。
こういう記事で、もっとも注目してほしいのは、クラブの“ロフト角”です。といっても、クラブ単体ではなく、パターを除いたドライバーからサンドウェッジまでの13本のロフト角の流れです。番手ごとのロフトのピッチ(間隔)がどうなっているかを見ます。
ただし、プロのセッティングを見る前に、自分が使用しているクラブのロフト角を確認してくださいね。自分のクラブがどうなっているかを知らないと、プロのセッティングを見ているだけでは意味がありませんから。
メーカーのホームページを見れば、各モデルの仕様はわかりますが、できれば、クラフトマンがいるゴルフショップで計測してもらうのがベストです。13本のクラブのロフト角を、ドライバーから順に書き出してみましょう。
そして、まず最初に、ピッチングウェッジのロフト角をチェックしてください。プロのセッティングを見るときも、このPWのロフト角を基準に、分析していきます。
ロフトの“階段”を作ろう
では、実際にプロたちが、どういう戦略でクラブを選んでいるのか、セッティングを見て読み解いていきましょう。
基本的に、3Wから下の番手間のピッチは、クラブが短くなるにしたがって大きくなります。たとえば、FWやUTのピッチは3度刻み、アイアンは4度刻み、ウェッジ系は5~6度刻み、という感じです。番手間のピッチがバラバラにならないよう、ずれ(ギャップ)を作らなければ、スウィングの大きさや強さの影響を考えることなく、距離の打ち分けがとてもシンプルにできます。
そこで、藤田寛之選手を見ていきます。とても基本に忠実で、ロフト角の差にギャップがなく、きっちりとロフトの階段ができあがっています。職人肌というか、丁寧さが表れています。
藤田選手は、6Iから9Iまでのアイアンのロフトを、4度刻みにしています。飛距離は、6Iで175ヤード、9Iで135ヤードくらいですから、この間の40ヤードを4本のクラブを使って、約10ヤード刻みで打ち分けているという計算です。
ドライバーの平均飛距離は、約280ヤードくらいで、ツアープロのなかでは飛ぶほうでも飛ばないほうでもなく、中間くらい。プロの試合では、パー4の距離は430ヤード前後ですから、藤田選手の場合、セカンドで残る距離は150ヤードの前後20ヤードくらい。それに対応する番手が、ちょうど6Iから9Iで、この間の距離が“スコアメークの肝”になるという戦略です。
「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/増田保雄