プライベートコンペに呼ばれる喜び
プライベートコンペは、自分一人では行けないようなコースの予約を人がとってくれて、賞品まで用意してくれる結構なゴルフチャンスです。交友が深まり、ご無沙汰している人とは空白が埋まる。結構ずくめのゴルフです。
かりに年に4回開催されるコンペが3つあるとすると、年12回のゴルフデーが予約されるのと同じではありませんか。ふらっと行けば好きにスタートできる、そういう恵まれたメンバー・コースの会員ならともかく、そうではない大方のゴルファーはプライベートコンペに名を連ねていることをありがたい恵みと思うべきでしょう。
職場や業界のコンペにはいろいろと疲れることもあるでしょうが、それも現役の人の贅沢な悩み。退職して季節ごとのコンペに呼ばれなくなったことにふと気がついたときの寂寥感はしみるもんだ、とリタイア組がよく言います。
コンペを大事にしてください。と改まって申し上げるのは、コンペの恵みを大事にしていない人が少なくないからです。コンペを大事にするとは、手っ取り早く言いますと、幹事に対して礼を尽くし、気遣うことです。幹事役を何度かやったことのある人ならお分かりでしょうが、幹事のストレスを思ってあげることです。幹事は何にホッとし、何にヤキモキするか、想像してみてください。
返事は早いほどよしです。もちろん「参加」にマルの返事が、幹事はいちばん嬉しい。都合で参加できないことが分かっているのなら「残念ながら欠席」と早く知らせるのが当然。どうせ参加できないんだからと、締切日まで引っ張っておいての「欠席」はあまりにも自己中心的です。返事なし、これにはもう友情が破れかかります。幹事の思いは悲しさを通り越します。
少し先にならないと予定が分からないというような場合、人の気持ちが読める人ならひとまず早く「締切日まで」あるいは「いついつまで様子を見させてください」という仮返事を出します。そういう心の優しい人は当日の来場も早い。集合時間よりずっと早めに到着して、幹事をホッとさせます。
そして顔を見せてから、食堂へ行く、練習場へ行くなどの前に、まず「何か手伝いましょうか」のひと言を忘れません。幹事の朝は結構バタバタ、人の手を借りたくなるものです。このひと言は泣かせます。同じ泣かせるのでも返事も遅い来場も遅い幹事泣かせとは正反対です。
人にはそれぞれに自分の持ち時間があります。幹事は大事な彼の持ち時間を会員たちのために費やしている人です。幹事だって、早く全員来たことを確認して、みんなと同じように練習場に行きたい、パッティングの練習もしたいはずです。
幸い私はこれまでのたくさんのコンペに関わり、幾度もの幹事経験で大勢の心優しいゴルファーに出会い、いい思いをさせてもらってきました。そういう人はプレー中も気遣いが細やかで、手順がいい。ですから他でもゴルフをご一緒することが多くなり、ゴルフ以外のほうにまでお付き合いが広がっています。
ゴルフは人なり、改めてそう思います。
「ゴルファーのスピリット」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/中野義昌