RBCヘリテージで日本人史上5人目となるPGA(米男子)ツアーでの勝利を挙げた小平智。一躍“時の人”となった小平の勝利に対し、日本ツアーの同僚たちはどのような反応を示しているのだろうか。月刊ゴルフダイジェスト編集部・ツアー担当のケンジロウが直撃取材した。

急成長の背景には先輩プロの懐に飛び込む姿勢あり

こんにちはケンジロウです。いやー、小平智プロのPGAツアー優勝、びっくりしましたよね。

思えば、彼にはまだチャレンジツアーに出ていたころから取材していますからね。当時からショットは申し分なかったのですが、ショートゲームがお世辞にも上手いと言えませんでした。レギュラーツアーに出始めたころはサンドセーブ率が下から2番目でしたからね。「バンカーが出ない男」として取材させてもらったことを、つい最近のことのように覚えています。

それが今やバンカーショットは申し分なく、アプローチの技も多彩ですからね。ここ数年のショートゲームの急成長が今回の優勝の一因だったのは間違いないでしょう。優勝したRBCヘリテージでも難しいアプローチを簡単に寄せていました。

画像: ショートゲームも急速に上達した(写真は2018年のマスターズ最終日 撮影/姉崎正)

ショートゲームも急速に上達した(写真は2018年のマスターズ最終日 撮影/姉崎正)

ショートゲームがここまで急速に上手くなったのは、やはり彼の愚直なまでの「いいものをどんどん取り入れる」という姿勢にあったのではないかと思います。恐れ多いと感じるようなツアーの先輩相手でも「それどうやって打つんすか?」とフトコロに飛び込んで技術を学んでいました。

谷口徹や片山晋呉、青木功といったプロたちからアプローチやパットを教えてもらう姿を試合会場でよく見かけましたよね。今年の3月にもジャンボ(尾崎)さんの元を訪れてジャンボさんのエキスをたっぷりと注入してもらっていましたね。

これだけ多くの先輩からかわいがられている選手はツアーの中でも珍しいでしょう。でもそうした「上手くなりたい」、「強くなりたい」という姿勢が徐々に結果として表れているんでしょうね。

日本のプロたちの反応は?

今週の日本の男子ツアー「パナソニックオープン」の試合会場は、“小平優勝”を受けてかなりざわついていました。「智すげーな」とか「アイツやっちまったよ」というような会話があちらこちらから聞こえていましたよ。

何人かプロからのコメントを聞いたので紹介したいと思います。

まずは小平智の兄貴分、岩田寛プロ。昨年は常に練習ラウンドを共にして、岩田が戦ってきたPGAツアーの話などをつぶさに聞いていたようです。

画像: 小平智の兄貴分、岩田寛プロ(撮影/有原裕晶)

小平智の兄貴分、岩田寛プロ(撮影/有原裕晶)

「まだ本人と会ってなくて、LINEでおめでとう! って言いましたよ。あのコース(ハーバータウンGL)は智に向いているなと思っていたんですよ。距離が短くて、さらにティショットが凄い大事なコースなので、智はティショットがいいから有利だなと。ティショットの左右の幅というより、タテの幅が難しいんです。10ヤード飛びすぎてもセカンドが狙えなくなるし、かといって距離が足りないと難しくなる。そういう意味でティショットの狙うところが凄く狭いんです。

それと、マスターズのときぐらいからパターが良くなっていましたよね。すごくタッチが合っている感じがしました。でもまあそれでも優勝するとは思わなかったですけどね(笑)。去年のうちに世界ランキング50位以内に入っていなくて、マスターズ出場が決まっていなかったことも、もしかしたらプラスになっていたのかなと思います。

智は『マスターズに出るだけが目標じゃない』ってずっと言っていたじゃないですか。俺もそう思うんです。出るだけって楽しくないですよね。上(優勝争い)でやるのが楽しいんですよ。50位以内に入っていたら、マスターズに向けて新しいことをやって調子を崩してということもあったかもしれないです。年が明けてからもコツコツとやっていったのが今回の結果につながったのかもしれませんよね。

でもほんとすごく刺激になりましたよ。僕もまたアメリカに挑戦したいですね。あそこは何回でもやりたい、そう思える場所です」(岩田)

普段は寡黙な岩田プロがかなり饒舌……、堰を切ったようにしゃべってくれました。

続いて、小平プロとジュニア時代から仲のいい石川遼選手会長。

画像: 小平プロとジュニア時代から仲のいい石川遼選手会長(撮影/有原裕晶)

小平プロとジュニア時代から仲のいい石川遼選手会長(撮影/有原裕晶)

「試合は観られなかったですけど、『おめでとうございます』という連絡をして返信ももらって少しだけ話をしました。

フルで日本のツアーで戦っていた選手が日本人最速でPGAツアーで優勝できたことは素晴らしいですよね。優勝したRBCヘリテージはPGAツアーの中でも大きいフィールドなので、その意味でもみんなに刺激を与えていただいたなと思っています。

日本の男子ゴルフにとっては、世界ランキング上位に日本人選手が多ければ多いほどよくて、その選手たちが定期的に日本に帰ってきてくれるだけで、日本のツアーも盛り上がると思うんです。池田勇太さんとか宮里優作さんも上位にいますが、自分もそこに割って入りたいと思っています。自分も含めて日本人選手が5、6人ほど世界ランキング30位以内に居続けることがゴルフ界にとって良いことではないかと思っています」(石川)

最後に、今年からヨーロピアンツアーを中心に世界の舞台に打って出ている片岡大育プロ。

画像: 片岡大育は今年から欧州を中心に活動(撮影/有原裕晶)

片岡大育は今年から欧州を中心に活動(撮影/有原裕晶)

「スペインオープンから帰ってくるときに、一泊したドバイのホテルで知りました。携帯でネットサーフィンしていたら『小平優勝』という見出しを見て……、うわ! すっげー! と思って二度見返しましたよ。

素直に凄いなと思いますよ。凄い刺激を受けますよね。僕も今年はヨーロッパに行っていて、時差とかキツイなと感じてしんどい思いもありました。でもしんどい思いをしながらも向こうの生活に慣れて優勝を目指さないといけないと思わされました。

小平君は上手いなと思っていましたけど、正直アメリカで勝てるかどうかは未知数でした。でもこれで『小平のレベルまで行けばアメリカツアーで勝てるんだ』となって、身近にいいお手本ができたなと思っています」(片岡)

みな一様に言うのは「かなり刺激になった」ということ。アイツがやれるなら俺もと発奮している選手が多かったのは日本の男子ツアーにとってもかなり明るい材料だと思います。若い選手も含め、これからどんどんと世界を目指す選手が増えてくれるといいですね。

取材を終えた時に、今年の3月ごろに宮本勝昌プロが言っていた言葉を思い出しました。

「これからしばらくは智(小平)の天下じゃないかな。2、3年小平の時代が続くんじゃないかなと思いますよ。スウィングも完璧だし、ちょっと異次元のゴルフをしているよね」(宮本)

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