ゴルフクラブは常に進化しているが……
日進月歩を続けるゴルフクラブの中で中古クラブはどのくらい古いと性能に差が生まれるのだろうか。また使うことに問題はないのだろうか。
シンプルに使えるか使えないかという点から見ると、ちゃんとしたチェーン店などの中古ショップで打っているクラブであれば、その道のプロがしっかり確認をしてから買取し、再度チェックをしてから商品として店頭に並べるので、安心して使用できる。
使用には問題がなくてもこれが競技ゴルファーとなると話は別だ。ここ10年でゴルフクラブのルールは大きく変わっており、中古市場にはそのルールに適合しているモデルと不適合のモデルが混在しているからだ。
一番チェックしておきたいのが2008年に施行されたSLEルール。ドライバーフェースの反発係数の上限を定めた規制で、多くのメーカーはこの上限を超えるクラブを販売していた。現在はかなり減ってはきたが一定数の需要があるため中古ショップには普通に並んでいるので、気にせずに購入して試合会場で指摘されるなんてケースも可能性としてゼロではない。
もうひとつがクラブフェースの溝に関するルール。このルールはパターを除く25度以上のロフトを持つクラブに適応される物で、段階的に施行されている。2010年1月1日以降に作られているクラブは、いわゆる新溝と呼ばれる溝の体積を制限された規則に則って設計されている。
この新溝ルール、2010年当初は「主要なプロフェッショナルツアーでのみ導入されることが強く奨励される」(JGAホームページより抜粋)といったニュアンスだった。そして4年後の2014年に再度見直され、現在では下部のプロツアーやエリートレベルのアマチュアイベントまで範囲が広がっている。次回は2020年に再検討される予定で、現在は2024年まで現在の適用範囲が延長されるだろうとみられている。
回りくどい言い方だが、多くのアマチュアゴルファーにとっては、現状ルールとして禁止されてはいないので、ローカルルールで使用を制限されていない限り、2010年よりも前に製造、販売されたいわゆる旧溝モデルを現在でも使うことが可能なのだ。
また現状では旧溝モデルは「倶楽部レベルゴルファーは、新しい仕様を満たしていない古いモデルのクラブを引き続き使用することが認められる(べきである)」(JGAホームページより抜粋)とあるので、クラブチャンピオンなどの試合であれば、旧溝モデルが使える可能性が高い。
溝ルールは、全日本クラスの試合に出ていない限りまず使用していて問題はないだろうが、気になるゴルファーは競技委員などに確認したほうが良いだろう。試合に出ていないアマチュアであれば、今のまま行けば2024年までは普通に適合クラブとして使えるので、あまり気にしなくても良いが、ちゃんとルールに適したクラブを長く使いたいというなら2010年以降に製造されたモデルを選ぶと良いだろう。
ルールはさておき性能はどう?
とくに試合に出ていないごくごく一般的なゴルファーが気になるのは、やはり性能だろう。最新のクラブと比べ、どれだけ古いとどのくらい性能が変わるのか? というところだが、ドライバーを含めたウッド類と、アイアン類によって少し変わってくる。
ウッド類は、やはりひとつの目安になるのが2008年のSLEルール。この時代には同時に施行されたヘッドサイズの上限ルールである460ccには到達しているので、サイズではあまり性能を測ることはできない。だがこの時代のドライバーは、反発係数を高めて飛距離性能を追っていたモデルが多いので現代の460ccと比べて反発エリアが広くないのだ。
ウッド類は、新しいほど反発エリアが広くなっていると言っても過言ではないので、打点のミスに強いドライバーが欲しいのであれば年代の新しいモデルを選ぶと良いだろう。
フェアウェイウッドは、ここ5年飛距離追求型のモデルが急速に増えてきている。飛距離よりも安定性を求めるのであれば、反対に古いほうが適度なスピンが得られて良い結果が得られる場合があるので、ここ10年ぐらいのモデルで程度の良いモデルがあれば試す価値はあるだろう。
続いてアイアンに関しては、飛距離を求めるなら新しいほど良いと言える。ここ2〜3年で飛距離系と言われるジャンルが確立しつつあるぐらいで、飛距離に特化したアイアンが増えているためだ。ミスへの許容度の高さを求めるなら、20年ぐらい前のモデルも問題はなく、古いほど距離が出ないと考えたほうが無難。古いアイアンでミスに強いモデルは、高さを出すためにロフトを寝かせているモデルが多いし、今ほど距離を求めるユーザーがいなかったので無理に飛距離性能を求めていないためだ。ただ古いアイアンに関しては前述した溝規制に抵触する可能性があるので念のためご注意を。
新しいクラブのほうが、性能が高いのは間違いない。しかし性能が良いからと言って良い結果に必ずつながるとは限らないのがゴルフの難しく、そして面白いところ。是非気になる中古モデルがあったら試してみてほしい。
撮影/小林司