ゴルフ雑誌を読んだり、色々なプロからレッスンを受けてみると「あれ、言っていることが人によって違うような……」なんて気持ちになったことはないだろうか? それもそのはず。ギアの進化とともにレッスンも進化しているのだ。ゴルフ界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が、ギアとレッスンの関係について考えた。

クラブフィッターが見る「ゴルフレッスン」

みなさんこんにちは。たまにさぼってボールを打っている店長の小倉です。今回のお題も常連さんとのやり取りから。

常連Cさん「こないだたまたま行ったコースでワンポイントレッスンを無料でやっていたから受けてきたんだけど、そのプロは、もっとテークバックで肩を回せっていうんだ。でもこないだ練習場のプロには、十分回っているから無理に回さなくても良いって言われたばっかりだったからどうしてよいかわかんなくなってその日ボロボロで……」

私「良い言い訳ができてよかったじゃないですか」

常連Cさん「もうお前んとこでクラブ買ってやんない!(笑)」

いつもの日常のくだらない会話でしたが、こんな経験をしたことがあったり、そう思ったことのある方は多いと思います。先に断っておきますが、私はティーチングプロの資格は持っていませんので、あくまで客観的な視点とクラブフィッターとしての視点でのお話です。

私の前職は、ゴルフダイジェストの編集者です。ギア関連はもちろん、レッスン担当もさせて頂いていました。そんななかよく読者の方からこんな突っ込みを頂きました。

「こないだドローボールが飛ぶって言ってたのになんで今回はフェードが飛ぶって言ってるんだよ!」

はい。ごもっともな突っ込みです。私は決まってこう答えていました。

「ゴルフ雑誌は数多くの方に対して上達や良い結果につながるようなヒントをたくさん載せているんです。そのたくさんのヒントの中から自分に合う答えを見つけてもらえたらと思っていますよ」と。

そもそもゴルフというスポーツは、ボールも統一球じゃない。クラブもルールに幅があり、しかもすごい勢いで進化している。それに加えてスウィングなどの個性が結果に反映されやすい。これだけ複雑な要素が絡み合うスポーツはゴルフ以外にありません。

だからスウィング理論だってたくさん存在します。ツアープロを教える世界的に有名なツアーコーチが唱える理論があれば、日本で数多くのアマチュアを教えてきたティーチングプロが唱える理論だってあります。どれも正解なのです。

道具の違いでスウィング理論が変わる

個人的にスウィング理論で気を付けてほしい点は、10年以上経過したスウィング理論は、鵜呑みにはできないということ。なぜか? それは使うクラブやボールが進化しているから。良い結果を求めるのに使う道具が変われば、理論や打ち方も当然変わってきます。理論を一部抜粋すれば現在も通用する部分はたくさんあると思いますが、当時どんなに良かったとしても今に当てはめると必ずしも良い結果にはつながるとは思えません。

画像: 「球聖」と呼ばれるボビー・ジョーンズ。1920年代に活躍した彼の時代、ゴルフのシャフトはカーボンでなく、スチールですらなく、ヒッコリー(木)だった。当然、今とは打ち方も異なる

「球聖」と呼ばれるボビー・ジョーンズ。1920年代に活躍した彼の時代、ゴルフのシャフトはカーボンでなく、スチールですらなく、ヒッコリー(木)だった。当然、今とは打ち方も異なる

たとえ当時のギアを使っていたとしても消耗品であるボールまで当時と同じ物を用意するのは難しいでしょう。見た目はほとんど変わっていませんが、その時代に合わせて常に進化しているボールが変われば、結果、つまり弾道にとても大きな影響を及ぼすはずなんです。

クラブに関しても低重心化が進んだドライバーで低スピンになりやすいボールを使っている現代では、10年前の効率が良いとされるスウィングで打った場合、スピンが減り過ぎてしまう可能性があります。良いとされていたスウィングや動きが良い結果に繋がらない可能性が高くなるということなんです。

繰り返しになりますが、私はティーチングの資格は持っていません。ですがクラブフィッターとして活動している以上、勉強はしています。正確にはスウィングを良くするということの勉強でなく、どういったクラブをどのように使えばどんな結果(弾道)が出るのかという勉強です。これが分からないと結果を改善できるクラブをお勧めできないですからね。

撮影/有原裕晶

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