スケジュール管理も戦術だ!
ツアープロたちが、1年間、常にいいコンディションで、自分のゴルフをし続けるためには、プレー以外に“スケジュール管理”にも戦略があります。
シード選手は、全試合に出場する権利があるため、どの大会に出場するか、自分の意志で決めることができます。一方、シード権のない選手は、下部のチャレンジツアーやQT、各大会の予選会で上位に入るなどして、試合に出場するしか方法がありません。
自分自身でスケジュール管理ができないのです。これは、プロにとっては、経済的な面よりも、大きなデメリット。シードを獲るか獲らないかは、まさに天国と地獄ほどの違いなのです。
シード選手の場合、たとえば、メジャー大会に合わせて調子をピークに持っていくために、3週出て1週休むというように、自分のペースでスケジュールを組み立てることができます。また、過去の経験から、コースと相性の良い悪いがあるので、極端にいえば、「不得意なコースでやる試合は出ない」という選択だってできるわけです。
タイガー・ウッズ選手は、デビューしてからずっと、出場する試合がほとんど変わっていませんよね。タイガーの場合、基本的には4大メジャーに照準を合わせて、スケジュールを組みますが、自分の得意なコース、好きな試合など、勝てる試合がわかっているのです。
また、米ツアーのシーズン序盤は、ハワイからカリフォルニア、フロリダへと転戦していきますが、ハワイはバミューダ芝、カリフォルニアはベント芝、フロリダはまたバミューダ芝、というように、使用されている芝の種類が変わります。そうすると、「ベント芝は得意だけど、バミューダ芝は嫌い」という選手は、カリフォルニアシリーズだけ出場して、ハワイとフロリダは行かない、という選択も可能になるわけです。
もちろん、ここまで自由にスケジューリングできるのは、シード選手でもトップクラスの選手に限られますが、それでも好きな試合や得意なコースで開催される試合を中心にスケジュールが組めるということは、翌年のシード権争いでも、大きなアドバンテージになるわけです。ゴルフを観戦するときに、人気選手がどういうスケジュールを組んでいるのかを見てみると、意外な発見があるかもしれませんよ。
「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/姉崎正