2018年のマスターズで優勝したパトリック・リードがそうであるように、年々、同一セットのクラブで揃えるプロが少なくなってきたように思える。しかし、「昔は同一クラブで14本を揃えるのが当たり前のことでした」というのは、ギアライターの高梨祥明。今の時代のヒントが隠されている、古い時代のクラブの選び方を見てみよう。

70年代まではゴルフクラブは“フルセット”で買うのが当たり前だった

ゴールデンウイーク。調べもののためにマグレガー社の古いカタログ集を眺めていた。この本には1935年発売のクラブから載っているが、昔のゴルフクラブの特徴としては、各モデルにドライバー、フェアウェイウッドシリーズ、そしてアイアンが必ずあり、それらをセットとして使うイメージが強く打ち出されていること。

そもそも、有名プロの名を冠したモデルが多かったため、それぞれにすべての番手が揃っている必要があったともいえるが、実際、70年代までは日本でのゴルフクラブの販売形態も、同じシリーズのウッド3本、アイアンは9本のセット。中にはウッドとアイアンをまとめた12本フルセット! といった売り方も珍しくはなかったのである。ただでさえ高価なゴルフクラブをまとめて買わなくてはならない。今と比べると、ゴルフは道具面でも“人を選ぶ”スポーツだったといえるだろう。

画像: 1930年代、ウッドは4本セットと3本セット。をアイアンは9本セットと8本セットで、値段設定があった。1本ずつでも買えたが、セットで買うのが当たり前だった

1930年代、ウッドは4本セットと3本セット。をアイアンは9本セットと8本セットで、値段設定があった。1本ずつでも買えたが、セットで買うのが当たり前だった

しかし、80年代に入り、マグレガー、ウイルソン、スポルディングのアメリカンゴルフブランド御三家から、ピン、キャロウェイ、テーラーメイドといった新興ブランドにその主役がとってかわると、クラブの販売形態も大きく変化していく。看板プレーヤーの名前を冠したパーソナルモデルを開発するのではなく、メーカー内でメタルウッド、アイアン、ウェッジ、パターとアイテムごとに開発チームが分けられ、それぞれの進化を追求していくようになったのだ。それに伴ってクラブはアイアンを除き、単品販売がスタンダードとなった。

プロなら作れる“マイ・セット”。アマチュアにはハードル高め!?

現在、ゴルフ市場でウッドからアイアンに至る“セット”感があるのは、エントリーモデルと呼ばれる初心者向けクラブか、ジュニアゴルファー向けのそれである。これまでの慣習では、こうした“入門セット”から入り、ゴルフ歴を重ねるごとに“単品”モデルに買い替え、自分なりにコーディネートしながら“セット”を作っていく。つまり、“まるごとセット”を卒業してこそ一人前! みたいな感覚が、ゴルファーの中にはあるように思う。かくいう自分も長らく、そう思って自分なりの“セット”を作るべく、単品モデルを組み合わせ、さらにヘッドだけでなくシャフトにも範囲を広げながら試行錯誤を続けてきた実感がある。もちろん、それにはお金もかなりかかっているが……(汗)

しかし、はたしてそれは正解だったのだろうか? と最近考えてしまう。70年代までのように上級モデルでさえも、ドライバーからウェッジまで同じコンセプトで作られた“セット”を当てがわれた方が迷わなくてすみ、なにより番手間のつながりもよかったのではないか、と。

そんなことを思っていると、市場でここ何年も「ゼクシオ」が各部門で売り上げ上位をキープし続けている理由がわかる気がするのである。「ゼクシオ」のユーザーは、ドライバーからアイアンまで、「ゼクシオ」で揃える傾向が強いからだ。

ご存知の通り、「ゼクシオ」は超軽量クラブの先駆けであり、その要となるシャフトもカーボンは自社設計の自社生産だ。このため特性が他社品とはかなり違う味付けになっている。個性が強いからこそ他のモデルとマッチングさせるより、「ゼクシオ」で揃えたほうが簡単であり、つながりがよい。決して“セット売り”ではないけれど、結果としてユーザーがフルセットで使ってくれる。それが「ゼクシオ」が全体的に売れている理由なのだと思う。

画像: 50〜60年代になると、有名プロのパーソナルモデルが続々と登場。ドライバーからアイアン、ウェッジ、パターまで、フルセットで使えるラインナップであることが基本だった

50〜60年代になると、有名プロのパーソナルモデルが続々と登場。ドライバーからアイアン、ウェッジ、パターまで、フルセットで使えるラインナップであることが基本だった

マスターズでは、今年、パトリック・リードがメーカーばらばらのセットで優勝。メーカー契約をせず、自由に“マイ・セット”を作って戦うプロが増え、話題にもなっている。しかし、それは我々アマチュアにとって、試行錯誤する楽しさが得られる反面、つながりあるセットを構築するという本来の目的に到達するには、遠回りなのではないかと思う。とくに今は、ドライバーだけが飛び抜けてヘッドが大きく、シャフトが長く、軽く、しなやかになっている時代である。これを従来発想で作られた、小さめ、硬め、重めの過去FWやアイアンとマッチングさせていくことはかなり無理があると思うのだ。

上から下まで同一ブランド。練習場やコースでこういう人を見かけると、昔はあまり道具に関してこだわりがない人に映ったものだが、今は逆である。この人、わかってるなぁと、感心してしまう。

キャロウェイ

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