やっぱりドライバーに性格が似ている!
まず打ったのは、今年テーラーメイドからキャロウェイに契約を変えたセルヒオ・ガルシアが使用する「ローグ」シリーズのフェアウェイウッド(FW)。フェース後方に「2本の柱」を配置する大胆あ設計で昨年大きな話題となった「エピック」のFWには、2本の柱がなかったが、このローグの場合はフェアウェイウッドにも2本の柱が採用されている。
そのおかげなのかどうなのか、ローグのFWといえば、日本の女子ツアーで契約外のプロもキャディバッグに入れるなど爆発的な飛びがウワサになっているが……「ローグ スター」の5番ウッドを打ってみた。
「球がやさしく上がるしつかまります。そして弾道の直進性が優れている。ヘッドの性能もさることながら、純正シャフトのしなり戻りがいいので、クラブ全体で球をつかまえてくれる手ごたえです。球がつかまらない人、スライスに悩んでいる人にオススメ。また、シャフトが走るぶん、インパクト前後でヘッドがシャローに動くしソールが滑りやすいので、手前に入ってもダフったりヘッドが下から入ったりしにくいのもいいですね」(以下、中村)
というわけで、やはり飛び性能の高さを感じることのできるFWだった。
ダスティン・ジョンソン、タイガー・ウッズ、ジェイソン・デイ、ロリー・マキロイら世界のトップ中のトップが愛用するMシリーズは、ドライバーと同様にFWも多くのプロに認められている。小ぶりでシャープな「M3」と直進性の高い「M4」。それぞれどんな性格なのか。
「コンパクトなヘッドサイズで、操作性の良いヘッドが『M3』です。ソールが船底型にラウンドしていて、どんなライでも対応できるし抜けがイイ。コースでは真っ平らなライはほぼありませんからね。プロや上級者が求める要素が満たされたモデルです。打ってみると、いい意味で印象が変わります。見た目や弾きすぎなくて“芯”のある打感は上級者好みですが、やや出っ歯で打ち出しが高くて、7Wみたいにラクに上がりました。小ぶりなヘッドですが、難しさはありません」
この「M3」に比べると、安心感が持てる大きさの丸顔で、ドライバーのイメージのまま構えて振れるFWが「M4」。シャローともディープとも言えないような、見事なバランスのヘッドは高弾道で飛ばせる。
「つかまるけどつかまりすぎない、『右も左もイヤ、ただ真っすぐ飛ばしたい』という人にマッチする絶妙なさじ加減のヘッドです。打感は今回試打したモデルの中で断トツにやわらかくて、吸い付くような感覚が得られました。それでいて球は上がりやすく、やさしくキャリーが稼げる。幅広いゴルファーに恩恵をもたらすと思います」
今回試打した中でもっともシャープだったのがM3。それに対して、上級者向けではあるけれども、やさしさも十分にあるのがM4といったところ。球の高低を操作したり、右に左にコントロールしたり、ラフからの抜けの良さを重視するなら、Mシリーズが良さそうだ。
ここからは外ブラに負けじと頑張る国産ブランド。まずはキャッチコピーの「飛距離モンスター」がすっかり定着した「ツアーB JGR」(ブリヂストン)。飛びを最優先にして開発されたクラブやボールが、立て続けにヒットしている人気ブランドだ。ドライバーは「とにかくつかまる」と評判だが、FWはどうか。
「引き締まった顔つきの“男前”なヘッド形状。それでいて、直進性が高くてロースピンの弾道が打てます。構えやすいけど、右に逃げることもありません。振りにいっても球が吹けないので、パワーがあるアスリートゴルファーにもオススメ。見た目のカッコよさと飛距離を両立しているモデルですね」
と、しっかりとドライバーの性能がFWにも引き継がれていることがわかる。パワーがある。右に曲がる。このふたつの条件を満たす人には最適解になりうるクラブだ。
さて、最後は今回のモデルで10代目を迎えた、アマチュアの王道クラブ「ゼクシオ テン」(ダンロップ)。アベレージゴルファーもやさしく打てる機能、爽快な打球音、振りやすさで人気は衰え知らず。選ばれる理由は、すべてにおいてパフォーマンスが高いこと。弱点が見当たらないのだ。
昨年末に発売され、衝撃的とも言える売り上げを叩き出したモデルだが、そのFWの実力はいかに。
「アドレスすると、楽にボールを上げてくれそうなイメージが湧くので、リキまずシャープに振れます。シャローフェース(フェース面の高さがない)だから、球が拾いやすくて上がりやすい。しかも、方向性もしっかりと出せます。弾道が上がりきったと思ったら、もう一度ホップするように上がっていくのは、本当にキモチいい瞬間。弾道の最高到達点が高いから、グリーンの上からボールの“重さ”で止められるんです。『球が上がらない』『キャリーが足りない』と悩む人にもってこいのFWです」
JGRが「パワーがあってもつかまる」ならば、ゼクシオ テンは「非力でもラクに上がる」という感じ。同じやさしいとされるモデルでも、その味付けは異なるといういい例と言えそうだ。
というわけで、やはりというかなんというか、人気ドライバーと同名のFWは、ドライバーに負けず劣らず高性能かつ個性的なクラブばかりだった。地べたにあるボールを高く上げて、遠くに飛ばすことが求められるFWに苦手意識を感じているゴルファーは少なくない。しかし今どきのFWは、カタチや機能が洗練されて打ちやすいモデルが増えている。
ドライバーと同じものを選ぶか、あえて違うものを選ぶかは悩みどころだが、自分の弱点を消し、長所を伸ばすクラブを選んで、鬼門の2打目を克服しよう!
写真/小林司