ティグラウンドはアンテナを張り巡らせる場所
ホームコースや頻繁にラウンドするコースは別にして、アマチュアの場合はティグラウンドに上がってから、「このホールはどこに打っていけばいいのかな」「OBはあるの? 安全なのはどっち?」という具合に、ホールの攻略ルートを考えることがほとんどだと思います。
プロの場合、毎年同じコースで開催される試合が多いですし、試合前に練習ラウンドをしているので、基本的な攻め方は頭に入った上で、ティに立ちますが、ゴルフは自然と戦うスポーツ。いつも同じ状況とは限りません。そこで、プロがティグラウンドに立って何をするかというところに、注目してみましょう。
まず、ピンポジションを確認し、その日のティからピンまでの距離を把握します。次は、ピンがグリーンのどこに切られているか。パー4であれば、ピンの位置によって、セカンドが狙いやすい場所が決まってきますよね。
もちろん、バーディ狙いの“攻める”ルートだけじゃなく、ホールの難易度や状況によって、“守る”ルートも確認します。また、「人のプレーは見ましょう」という話にも繋がりますが、ティショットを打ち終わって、次打地点にいる前の組のプレーも、しっかりチェックしています。
このホールは右サイドから攻めていくのがセオリーなのに、なぜか前の組の選手全員が左サイドに外しているとしたら、「あれ、おかしいぞ。もしかして上空は右からの風が強いのか?」とか、グリーンまで見渡せる場合は、グリーン上で行ったり来たりしている選手たちの様子を見て、「もしかして、カップが左手前のコブにかかっているのかも……」というように、常にアンテナを張り巡らせて、必死で情報を集めているのです。
そうやって注意を払っていると、ティグラウンドに立った瞬間に、何かいつもと違う空気が漂っていることを、察知できるわけです。
ラウンド中は常にそういうセンサーを働かせてください。ティグラウンドに立ったときも、ただ漠然とフェアウェイの真ん中を狙って打っているようでは、いつまでたってもスコアアップなんてできませんよ。
「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/姉崎正