パットはカップ際の転がりに注目
「パット・イズ・マネー」というように、ゴルフにおいてパッティングは非常に重要です。しかし、多くのアマチュアにとって、一番頭を悩ませているのも、パッティングではないでしょうか。
最初の難関は、ラインを読むということでしょう。一度として同じラインはないので、プロでも非常に苦労するものです。
プロの試合のグリーンはスピードが速いもの。グリーンのスピードが上がると、ボールがカップに届くまでの球の転がりは遅くなるので、傾斜や芝目の影響をもろに受けることになります。さらに芝が短く刈られると、ボールと地面との接地面積が減り、摩擦が少なくなります。
プロの試合のグリーンは、いわば、フローリングの上でボールを転がしているようなもの。ですから、グリーンの読み方もかなり細かくてシビアです。
日本では、「カップ1個右」とか、「カップを外さないで左の内側」という言い方をします。アメリカでは「center-right」(カップ中央より右)とか、「center-left」(同左)というように、カップのなかまで細かく分割してラインを読んでいますし、ときには、「one-hair」(髪の毛1本分)という表現も使うくらい、細かく読んでいます。
アマチュアの場合、グリーンのスピードが遅いので、「これは“ちょいスラ”かな」という程度でいいし、強めに打っておけば、少しくらいミスしてもなんとかなります。ですから、ラインの読み方でプロの真似をする必要はありませんが、ラインを読むときの最低限のコツは頭に入れておきましょう。
まずは、ボールからカップまでの傾斜を正確に読むこと。ボールの後ろからだけでなく、サイドからも見ることで、カップまで上っているのか、下っているのかがわかるし、距離感もつかみやすくなります。
次に左右のラインを読むのですが、いちばん簡単なのは、自分よりも先に打つ人がいたら、その人が打ったボールの転がり方をしっかりと見ることです。とくに、スピードが遅くなって、もっとも傾斜や芝目の影響を受けやすい、カップ際の転がり方はしっかり見ましょう。
最後に、いちばんのクセ者、芝目の読み方です。今はどこのゴルフ場も西洋芝“ベント芝”が主流になり、日本特有で芝目の強い“高麗芝”は少なくなりました。よく、「ベント芝は芝目がなくて、傾斜だけを読めばいい」といいますが、少ないというだけで、まったくゼロにはならないので、芝目はしっかり読むクセをつけましょう。
たとえば、同じフックラインでも、カップまで順目か逆目かで、転がり方も曲がり方も変わります。順目だと摩擦抵抗が少ないので曲がりも小さく、ストレート気味に狙っていけますが、逆目は抵抗が強いので、カップ際でブレーキがかかるし、曲がり幅も大きく読む必要があります。
ボールからカップのほうを見て、芝が白く見えたら順目とか、黒っぽく見えたら逆目とか、芝目の読み方もいろいろありますが、誰でもできる簡単な方法をひとつ紹介します。
それはカップの縁の芝を見ることです。朝早い時間だとわかりにくいのですが、時間がたつと、芝が伸びてきますよね。すると、片側の芝がカップにかかるように伸びてきて、反対側は芝が剥げてきて、カップが崩れやすくなります。つまり、芝が伸びているほうから崩れているほうに順目、ということです。
自分のボールの置かれている状況は転がりやすいのか、転がりにくいのか。それがわからないと、正確なタッチもラインも見えてきません。
グリーンに乗ったら、アンテナの感度をより高くして、少しでも多くの情報を集めることが大切です。それが3パットをなくすことにも繋がるし、スコアにも直結するのです。
「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/西本政明