実はアベレージゴルファーこそ「使うべき」なのだ
みなさんこんにちは。ギア大好き店長の小倉です。当店は目の前が練習場の打席なので、こんなお客様もいらっしゃいます。
お客様「ねぇこのクラブ、自分でロフト替えられるんでしょ? ちょっとボールが上がらないからロフト増やしてくれない?」
私「いいですよ。ちょっと見せてください。あ、シャフトを差し替えるだけのタイプですね。ロフトを寝かすと少しフェースが左向きますよ」
お客様「え、何で? ロフトだけ替えてほしいんだけど」
私「構造上無理なんですよ。できるタイプもあるんですけどお客様のクラブだとどうしてもロフトだけっていうのは無理なんです」
いまや発売されるドライバーの半分以上が弾道調整機能、いわゆるカチャカチャが装着されています。ユーザーが自分で好みの弾道に合わせてアジャストできるとあって定番の機能となりつつありますね。たくさんのお客様がご来店されますが、かなりの確率で弾道調整付きドライバーを使っていらっしゃいます。
しかし詳しくお話を聞いてみると競技志向の方やアスリートゴルファーはしっかり活用している方が多いのですが、ごくごく一般的なエンジョイゴルファーは、あまり有効に活用していない印象を受けます。カチャカチャはうまく使うと、上級者はもちろん、アベレージゴルファーにもとても良い効果をもたらすんですよ。
カチャカチャには、ネック調整型とソール調整型の2タイプがあります。それぞれ主な調整項目はこんな感じです。前もって言っておきますがすべてのタイプが以下の調整が全部できるわけではありませんのでご注意くださいね。
ネック調整型の主な調整できる項目
・ライ角
・ロフト角
・フェース角
ソール調整型の主な調整できる項目
・重心距離
・重心深度
・バランス調整(重量調整)
ネック調整型は、簡単に言うとシャフトを斜めに刺して固定することで、インパクトでのヘッドの向きを調整して弾道を変化させています。ですので、180度の向きで差し替えれば、1項目しか影響は出ませんが、30度、45度といった向きで差し替えるとどうしても操作したい項目の他にも影響が出てしまうのです。その影響を減らすために歯車をふたつ組み込んでその歯車のかみ合わせの角度で調整しているメーカーもあります。
ネック調整型の調整した時の効果をザっと駆け足で説明しますと、ライ角はアップライトにすればボールがつかまる方向に、反対にフラットにすればつかまりを抑える方向にチューニングできます。ロフト角は増やせばボールの打ち出し角が高くなりやすく、またスピン量も若干増加します。ロフト角を減らせば、打出し角が低くなりやすく、スピン量が減少しやすくなります。
フェース角は、フェースを左に向ければ、左を向いた状態でインパクトしやすくなるのでボールがつかまりやすく、右を向ければ右を向いた状態でインパクトしやすくなるのでボールのつかまりがおさえられます。
ソール調整型はソールにレールを作り移動できるウェートを搭載して、そのウェートの位置で重心位置に変化をもたらすことで弾道を調整できるようにしているシステムです。
ソール調整型の調整した時の効果は、ウェートをヘッドのトウ側に動かすと重心距離が長くなります。重心距離が長くなるとヘッドのターンが穏やかになるので左へのミスを抑制しやすくなり、反対にヒール側にウェートを動かすとヘッドのターンがしやすくなるので右へのミスを制御しやすくなります。
ウェートをヘッドの後方に動かすと重心深度が深くなります。重心深度が深くなるとインパクトで芯を外した時にヘッドのブレを抑えることができ、曲がりを減らすことができます。デメリットとしてはバックスピンが若干増えやすくなります。ウェートをフェース側に動かすと重心深度が浅くなり、芯で打ったときのエネルギー効率が高まりやすく、低スピンで高初速の弾道が打ちやすくなります。半面、芯を外した時にミスが大きくなりやすいといった側面があります。
ウェートが脱着できるモデルは、そのウェートを変えることでクラブの重量を調整することができます。
勘違いしないでいただきたいのは、これらの弾道調整機能はあくまで微調整だということ。基本の性能は、あくまでヘッドの性能。カチャカチャは決して万能ではありません。自分のパワーや求める性能に合わせてしっかりモデルを選んでください。そのうえでより自分に合わせるためにあるのがカチャカチャです。
アベレージゴルファーにおすすめのカチャカチャの使い方は、練習場ではニュートラルで練習して自分のスウィングのクセを確認しつつ、悪い点の改善を狙います。コースでは普段のミスの傾向に合わせてカチャカチャを使ってミスの補正をするといった感じです。
是非やってもらいたいのは、毎回自分が使っているカチャカチャのポジションをしっかり把握しておくということ。そうしないと調整するたびにポジションが変わってしまう可能性があり、打ったショットの結果が自分のスウィングのせいなのか、カチャカチャの補正のお陰なのかを判断するのが難しくなってしまいます。
せっかくある便利な機能なのですから、是非活用してもらえたらと思います。どんなにカチャカチャやっても結果が変わらない方は、根本である使用しているヘッド性能を疑いましょう。
撮影/三木崇徳