50年以上の歴史を持つ全日本アマチュアゴルファーズ選手権の地区決勝に出場
かつてはパブリック選手権、通称“パブ戦”として親しまれてきた全日本アマチュアゴルファーズ選手権。その東日本B地区の地区決勝に出場してきました。
これまでは競技と言えば、ホームコースの月例にたまに出る程度のエンジョイゴルファーでしたが、仲間に誘われて予選に出場したところ、運良く通過。各予選を勝ち抜いた選手が参加する地区決勝に出場することが出来ました。
地区決勝はなんと2日間競技。私が出場する会場は、八ヶ岳の麓にある山梨県の丘の公園清里ゴルフコース。神奈川県の自宅からは140キロあり、疲労を考えて前日泊することにしました。二泊で2ラウンドの長丁場です。私のようなその日暮らしのライター稼業には、平日にこれだけ拘束されるのは正直厳しいものがあります。
コースは、フルバックから6740ヤードとシリアス競技の中では短い部類ですが、丘陵コースらしいアップダウンがあり、木々に囲まれたフェアウェイは実際以上に狭く見えます。高原らしく風が強く、ねちっこい洋芝はアプローチが難しくなります。標高は1100メートルを超えていて、通常のゴルフ場よりもボールが飛ぶようです。選手の中には「一番手以上飛ぶ」という人もいました。
私には難しいと感じるコースですが、飛ばし屋なら2オン可能なパー5があることもあり、スコアは昨年よりも伸びていたようです。予選に出場したときも緊張しましたが、今回の地区決勝では周りはみんな格上。どの選手も上手そうに見えるし、実際に上手い人ばかりです。同伴競技者や前後の組を見ても、そのレベルの高さに圧倒されそうになります。
このレベルの選手たちの共通点は、なんといってもアプローチとパッティングの上手さ。必ずしもパーオンするわけではないし、グリーンオンしてもピンについているわけではない。しかし、絶妙に寄せて、簡単にパーを取っていきます。
そして、マネジメントの巧みさも感じました。出場選手たちは、プロのような超人的なショットを放つわけではありません。しかし、ミスをしないショット、そしてミスをリカバリーする能力がみんな高い。ショットがぶれても次のショットが打ちやすいところに置いて、パーセーブしてくる。このあたりは大いに参考になりますね。
初日の成績は「78」で、160人中、59位タイ。緊張とアドレナリンのせいかショットが乱れましたが、なんとかまとめたという感じです。この地区決勝を通過するには、36位までに入らなければならないので、2日目は70台前半が必要な状況です。
ホテルに帰るとフロントの前に、初日の成績と2日目のスタート時間が貼り出してありました。2日目のペアリングはプロのトーナメントのように、初日の成績順で決まります。試合と提携するホテルなのでフロントで確認できましたが、それ以外のホテルに泊まった選手はWEBサイトなどでスタート時間をチェックします。
初日は小雨がぱらつく天気でしたが、2日目は晴れ。しかし、吹きさらしの高原の風に煽られて、なかなか距離の合いにくいコンディションです。スタートホールは無難にしのいだものの、3番、4番で判断を誤ってしまい、連続のダブルボギー。ここで予選通過の微かな望みは絶たれてしまいました。後半は少し気が抜けてしまいましたが、なんとか立て直してスコアは「81」。全体では72位タイで、ちょうど真ん中あたりでした。
2日目の同伴プレーヤーの一人が、1オーバー「73」でフィニッシュし予選通過。聞けば予選会場も私と一緒で、通過したスコアも1打違いでした。実は、ぶっつけ本番では厳しいと思い、試合の2週間前に練習ラウンドに来ていたのですが、そこで私も「73」が出ていたのです。あれが本番に出ていれば、と思わないでもないですが、そこが試合の難しさでしょう。
終わってみれば、実力以上の成績はなかなか出ないなというのが正直なところです。予選通過の可能性はゼロではなかったと思いますが、飛距離面では、かなり飛ばないほうだったと思いますし、技術も拙いレベルでした。同伴競技者のプレーは、ゲームの組み立て方、ショートゲームの上手さ、プレーのリズムつくりなど勉強になることが多かったです。このレベルのゴルファーと2日間プレーする機会はなかなかないので、得難い経験になりました。
一方、前日から二泊したホテル代が、1万6500円。2ラウンド分のプレー代とエントリー費が約2万4000円。高速料金は片道3440円、ガソリン代や食事代などを考えると、決して少なくない出費です。おまけに練習ラウンドもしてしまっているので、私のような貧乏ライターの家計にはかなりの負担になりました。
しかし、選手たちは、大なり小なりコスト面や時間の犠牲を払って出場しています。お金もたくさんあって、暇を持て余している人はむしろ少なくて、費用を工面し、なんとか時間を確保して、苦労しながら試合に出ている人が大半でしょう。そうまでしても挑戦したくなる魅力が、競技ゴルフにあるのだと感じます。
私自身、ゴルフがなかなか上達せず、停滞した時期が長かったので、地区決勝に出ることが出来たのは素直に嬉しかったです。緊張して、ラウンド前は恐怖さえ感じましたが、終わってみれば、また挑戦してみたいという気持ちになります。決して、特別なことではなくて、努力次第では誰もが挑戦できるステージだからこそ、犠牲を払ってでも挑戦するゴルファーが後を絶たないのでしょう。