「ヨネックスレディス」で2年ぶりの復活優勝を挙げた大山志保。体調は万全ではないながらも今できるベストを尽くしグリーン上で他を圧倒的したベテランらしいプレー。みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファー中村修が解説する。
「6割程度のスウィングでしか振れない」と本人がコメントしていましたが、振りちぎるようなスウィングは見られず、なんとか3日間を完走するスウィングであったように見えました。体調は、本人が言うように万全とは言えないのでしょう。でありながら、飛距離を見てみると251.833ヤードと全体の18位でしっかりと距離を出せていました。
その秘密は、故障した首や背中に負担のかからない下半身の使い方にあると思います。【画像1】は昨年4月の「バンテリンレディス」のものですが、そのときの下半身の使い方はほとんど変わっていませんでした。
特徴的なのは、トップからの切り返しでスクワットするように下半身が沈み込むこと。これにより前傾角をキープしつつ、クラブがプレーン上を動きます。首とか背中を無理に使わず、下半身を積極的に使う。上半身の負担を減らしつつ、下半身を主に動かすことで飛距離も出せます。
飛ばせる要因をもう少し詳しく見てみましょう。【画像2】の左写真は、画像1の右写真と同じで、切り返し直後。右写真はフォローサイドです。切り返しで下半身をスクワットするような動きを取り入れることで地面に圧力をかけ、その反動で下半身をピン! と伸ばしながらスウィングしているのがわかります。上半身に負担をかけられない分、地面反力を使って補っています。
今あるベストを尽くして戦う姿は、優勝を争った若い選手たちにとっても学ぶべき点が多くあったのではないでしょうか。体をしっかりケアして、残りシーズンでも、またあの気迫のこもったガッツポーズを何度も見せてもらいたいですね。
写真/大澤進二