PGA(米男子)ツアーで“第五のメジャー”と呼ばれる「プレーヤーズ選手権」を制したウェブ・シンプソンは、驚くなかれ50グラム台のシャフトを使っている。平均290ヤード超を飛ばすシンプソンが50グラム台で、平均220〜230ヤードしか飛ばない自分が60グラム台ってヘンじゃない!?
みんなのゴルフダイジェストの編集部員Aがそう考えたところから、この企画はスタートしている。まずは、Aの使用ギアをご紹介しよう。ヘッドはピンのG400。シャフトはUSTマミヤのアッタス6Sで、総重量は314グラムだ。ウェブ・シンプソンはタイトリストの917D2にグラファイトデザインのツアーAD IZのXシャフトを装着しているので、おそらく総重量的には大差ない。飛距離は70ヤード違うというのに!
というわけで、軽量シャフトを試してみることにした。まずは、純正シャフトが40グラム台と軽量ながら硬めでしっかり振れると評判のミズノの「GX」を用意。さらに、USTマミヤにお願いして、同じアッタスの「5X」と「4X」をお借りした。
5Xは59グラム、4Xは53グラムと軽量のモデルだ。「S」ではなく「X」を選択したのは、編集部員でプロゴルファー・中村修からの「軽くするなら、その分硬くしたほうがいいよ」というアドバイスを受けてのもの。正直、Xシャフトには抵抗感があるのだが……。
試打の前に、スペックをまとめておこう。なお、ヘッドはピン、ミズノともに10.5度だ。
試打の舞台は千葉県のニュー南総ゴルフ倶楽部。やや右ドッグレッグの1番ティグラウンドをお借りし、テストを開始した。まずは、“お手本”として、プロゴルファー中村修が試打。それぞれ5球ずつを打って平均を取った、結果は以下だ。
表中、赤字で示した数値は各部門の最高値。G400かけるアッタス6Sという、中村の普段のスペック(60グラム台のXシャフト、あるいは70グラム台のSシャフト)に近いものがやはりもっとも良い結果となった。ただし、アッタス6Sには290ヤード以上をかっ飛ばした“今日イチ”も含まれるため、ミズノGXも軽量ながら十分に健闘したと言えるだろう。
「やはり、50グラム台、40グラム台だと少しタイミングが合いにくい感覚がありました。ミズノは軽量ながら振りやすかったですが、個人的には普段使っているスペックに近いものがやっぱり気持ち良く振り切れましたね」(中村)
ただ、今回の趣旨はあくまでアマチュアが打ってどうかというところ。平均220〜230ヤードの平均的アマチュアの試打結果こそが重要だ。というわけで、編集部Aの試打結果を見てみよう。
ヘッドスピード的には軽く振ったプロと1〜2m/sの違いしかないにもかかわらず飛距離は20ヤードも違う! という点は置いておくとして、プロの場合とは異なり、50グラム台のXシャフトでもっとも好結果が出た。そして、最軽量級であるミズノGXもそれに次ぐ結果となった。Aは言う。
「アッタスの5Xは、軽量とは思えないほどしっかり感があり、ものすごく軽快に振り抜けました。そして、5Xを打った後に6Sを打つとしんどい! シャフトも重さ自体はわずか3グラムの違いなんですが、すごく重たく感じてしまいました。ミズノも軽量ながらしっかり感を感じられ、“今日イチ”の約270ヤードの1打は、ミズノで打てました」
実は、6Sで打った場合、スライスするボールが多かった。それに対し、5Xはシャフトがしっかりとしなることからボールがつかまり、スライスが軽減されたことも、飛距離アップにつながった。
軽量ながらしっかり感を感じることができる。その上で、しっかりとシャフトがしなる。これが、軽量シャフトを選ぶ上でもっとも大切なことのようだ。プロゴルファー・中村にまとめてもらおう。
「ヘッドスピードはそこそこあるとはいえ、手打ち傾向が強く、重さを活かしきれないAさんには、66グラム台の6Sシャフトは重すぎることがわかりましたね。一方、軽すぎても手打ちが助長され、飛ぶ・飛ばないのムラが出る。59グラムの5Xシャフトはその点、ピッタリでした。重さとスウィングのバランスが取れたことで力みが消え、シャフトのしなりを使うことができていました」(中村)
よく、重いシャフトは体で打つことができ、軽いシャフトは手打ちになると言うが、一概には言えない。ウェブ・シンプソンのように、誰もが軽くすればいい結果が出るわけでは当然ながらないのだ。
一方、自分のスウィングに見合った重量帯のシャフトを選べば、それだけで結果が良くなる可能性も大いにある。また、Aが「自分に縁がない」と思い込んでいたXシャフトだが、軽い分なんの問題もなく打てていた。先入観を取り去ると、ギアの選択肢は多いに広がるようだ。
最近ではゴルフショップの試打クラブのラインナップも随分増えてきた。なんとなく60グラム台のSシャフトを使っている編集部Aのようなゴルファーは、一度、50グラム台、あるいは40グラム台のシャフトを試してもらいたい。必ずやなにかしらの発見があるはずだ。
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