世界的にサッカーのロシアワールドカップが盛り上がりを見せている。そんな中、日本でもジュニアゴルファーが熱い戦いを繰り広げる“ワールドカップ”が開催されていた。
トヨタジュニアゴルフワールドカップは、世界6大陸の70を超える国と地域で予選を勝ち抜いた24カ国が世界一を競い合うジュニアゴルフの国別対抗戦。直前の女子ツアー・宮里藍サントリーレディスで優勝争いに顔を出す活躍を見せた安田祐香は、日本代表の一人としてこの試合に臨んだ。
前の週はレギュラーツアーでベストアマ、大会翌週は連覇がかかる日本女子アマが控えるというハードな日程。疲れもある中、一体どんなプレーを見せてくれるのか、安田の後半のハーフについて、取材した。
まず印象的だったのは、そのショット力の高さ。身長163センチで体型はスリムだが、クラブを放り投げるようなフォローから放たれる飛距離は体格で勝る同組の韓国人選手、カナダ人選手と比べても頭ひとつ抜けている。
安田が通う滝川第二高校ゴルフ部監督でもある角谷真吾女子日本代表コーチは言う。
「元々、ショートアイアンはキレキレの選手。そこに体幹がしっかりしてきたことで、飛距離が加わってきました。ショット力は抜群だと思います」(角谷コーチ)
恩師がそういうように、240ヤード級の飛距離でフェアウェイのいいポジションをとり、そこから切れ味抜群のショートアイアンでアグレッシブに攻める。残り数メートルのパターが入ればバーディ、入らなければパーというゴルフで、危なげがない。
そして、プレーぶりとともに印象に残ったのが、そのマナーの良さだ。3人のプレーヤーの中で、目土袋を携行していたのは彼女だけ。自分のショットの跡は自分で埋め、グリーン上のピッチマークは直し、旗竿はグリーン上に放り投げずにグリーンエッジにそっと置く。どれも当たり前のことだが、これを“世界大会”でできるのがすごい。
あるホールのティグラウンドでのことだ。全員が打ち終わり、同伴競技者たちが速やかに2打目地点に向かう中、安田一人が足を止めている。どうしたのかと見ると、後ろの組の選手がティグラウンドからそう遠くない林の中からのショットに臨もうとしていた。
安田は、トラブルに見舞われている他国の選手が集中できるようにと、動くのを自粛したというわけだ。恥ずかしながら、プレーヤーでない記者も気がつかなかった。気遣いもそうだが、視野の広さも感じる。それは、ゴルフにもプラスに働くはずだ。
ホールアウト後、安田本人に質問してみた。「ホスト国だからこそ、マナー良く振る舞ったのか?」と。安田の答えはこうだ。
「日本人としてとかではなくて、世界のどこでもゴルフ場に敬意を持たないといけないと思っています。目土袋を持っているんだから、(ディボット跡修復などを)しないのは(自分にとって)ありえません」(安田)
と、“ど直球”の答えが返ってきた。高校卒業後のプロ入りを目指している安田。少し気の早い話だが、やがて飛び込むであろうプロの世界でも、この日見せてくれたような気持ちのいいゴルフを見せてもらいたいと思ってしまった。