ロシアW杯での日本代表の戦い、盛り上がりましたね。とくにベルギー戦、史上初のベスト8進出まであと一歩に迫る戦いは、見ていて胸が熱くなりました。
さて、そんなサッカーからも、ゴルフのマネジメントのヒントを得ることはもちろんできます。注目したいのは、選手たちの「パス回し」です。
たとえば、逆サイドへのサイドチェンジや、サイドの選手が中央へとボールを供給するクロスボール、あるいはキーパーがゴールキック時に直接前線へと運ぶロングフィードなどの場合を除いて、多くの場合パスはボールを地面を転がして行います。
なぜでしょうか。答えは簡単で、そのほうがパスを受ける相手の足元に正確にボールを運ぶことができるからです。一方、上に挙げたような“上げるボール”は、距離を出したい場合、手前にいる相手選手の頭上を越したい場合など、特殊な場合でしか採用されません。いわゆる“壁”の頭上を狙うフリーキックなどが、この場合いい例ですね。
勘の良い方はもうお気づきでしょう。ここから、ゴルフにおけるアプローチのマネジメントのヒントが得られます。
グリーン周りからピンを狙うアプローチは、サッカーでいえばシュートやフリーキックの感覚ではなく、ディフェンダー同士がボールを転がし合うパス回しのような、小さな動きにたとえられます。ゆえに、上げるボールを選択する理由は基本的にありません。
もちろん、手前にバンカーがある場合はこの限りではありません。サッカーで言う手前に“壁”がある場合と同じですから、その上を超えるボールを選択する必要が当然ながらあります。ただし、(フリーキックがそうであるように)ある程度の力感と振り幅が求められますから、その分ミスの可能性は増えます。
しかし、たとえばボールがグリーンの花道にあり、エッジまで10ヤード、エッジからピンまで15ヤードといったケース、すなわちパスを出す相手(ピン)までの間に障害物が存在しない場合、転がしを選択するのがもっとも理にかなった方法になります。目の前にいる相手にパスをするのに、わざわざボールを上げる必要がないからです。
グリーン周りにサンドウェッジ1本だけしか持っていかないのは、「上げるパス」しかできないのと同じこと。もっとも転がしやすいクラブであるパターや、9番アイアンなど、転がしやすいクラブを用意するだけで、ピンに向けてのパス、すなわちアプローチの難易度は大きく下げることができます。
ゴルフはボールを飛ばす競技でも、上げる競技でもなく、狙ったところに運ぶゲームです。それを頭の片隅に置いて、サッカー日本代表のように、正確なパスをピンの足元ならぬ根元に決めてくださいね。
撮影/三木崇徳 ※みんなのゴルフダイジェスト「100切りマネジメント研究所」より