ウェッジはネック形状によってグースタイプとストレートタイプの2つに大別されるが、ネックの形でいったい何が変わるのか。ウェッジ選びの際に注目すべきポイントはどこ? ギアライターの高梨祥明が往年の名器を交えて解説。

ウェッジ選びは“刃”が命!?

ウェッジというとグースタイプ、ストレートタイプとなんとなくネック形状で大別されているけれど、ネックの形でいったい何が変わるのだろう? ゴルファーなら一度は疑問に思ったことがあるのではないだろうか。

グースネックのウェッジといえば、日本においては何と言ってもジャンボ尾崎監修の“J’s系”ウェッジ(写真1左)が思い浮かぶ。あたらめて構えてみると、なるほどヘッドが大きく、シャフトの中心軸より後ろにヘッドが付いているようにみえる。現在主流のストレートネックのウェッジとは、やはり一線を画したウェッジタイプである。

画像: 写真1。左/ジャンボ尾崎用にマスダゴルフの増田雄二氏が削った『M425』ウェッジ。右/PING EYE2のSW。

写真1。左/ジャンボ尾崎用にマスダゴルフの増田雄二氏が削った『M425』ウェッジ。右/PING EYE2のSW。

これは日本特有かと言えばそんなことはなく、PING「EYE2」のSW(写真1右)なども似たようなヘッドが後方にセットバック(オフセット)されて付いているような設計だ。さすがゴルフクラブ史に名を残す名器、共通点があるものだ。

PING「EYE2」はフィル・ミケルソンのアプローチスタイルにも大きな影響を与えている。写真2のように「EYE2」のLWとミケルソン用に開発されたキャロウェイの「マックダディPMグラインド」を比べると、その雰囲気、とくにリーディングエッジ(刃)の出方が似通っていることに気づくだろう。シャフトの中心軸より刃が前に出ているのがポイントである。いわゆる出っ歯のウェッジである。

画像: 写真2。左/キャロウェイがミケルソン用に作った「MD PMグラインド」。右/PING EYE2のLW。ミケルソンは幼少時代からEYE2のLWでアプローチ技を磨いた。

写真2。左/キャロウェイがミケルソン用に作った「MD PMグラインド」。右/PING EYE2のLW。ミケルソンは幼少時代からEYE2のLWでアプローチ技を磨いた。

写真1のジャンボ用ウェッジと見比べると、その刃の位置が大きく異なることに気がつくだろう。ウェッジ選択のポイントは、この刃がどこにあるかを見極めることだ。

バンカー脱出のためのSW。高さを出すためのLW

ここで、何かおかしいと思わないだろうか。ジャンボ尾崎用とミケルソン用ウェッジでは、その“刃”の位置に大きな違いがあることはわかったが、その類似モデルとして並んでいるのは、どちらもPING「EYE2」なのだ。

ウェッジタイプを二分するオフセットモデルと出っ歯タイプに、同一モデルがフィットする。実はここにPING「EYE2」の凄さ、それを作ったカーステン・ソルハイム氏の偉大さがある。

PING「EYE2」のウェッジのヘッドには、よくあるようなロフト角やバウンスの数値は刻まれていない。あるのはSWを示す「S」とLWを表す「L」だけである。これはつまり「EYE2」の「S」は文字通りバンカー専用に考えたSWで、「L」は高さを出したいロブショットが打ちやすい専用ウェッジである、ということなのだ。用途が違うから、リーディングエッジの位置がハッキリ違うのである。今どきのウェッジが、ほぼ同じ形状で56°はSW、60°はLWといった分け方をするのと決定的に違うところである。

では、あなたはジャンボ尾崎のように低めに飛び出し、ツツッとスピンをかけるアプローチを好むだろうか? それとも、ミケルソンのようにふわっと高いロブショットでドスンとターゲットを狙っていきたいだろうか? どちらを志向するかで、選ぶべき“刃”の出方が変わってくる。また、ゴルフクラブ設計の天才、カーステン氏を信ずるならば、バンカーが苦手である場合は「EYE2」の「S」のようなオフセットモデルを選ぶといいだろう。

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