梅雨が明け夏も本番になると、秋以降に各クラブメーカーから発売される、新作モデルの情報が続々と伝わってくる。国内男子ツアー「長嶋茂雄INVITATIONAL セガサミーカップ」の練習日初日から、今秋に発売予定の新作ドライバーを精力的にテストしていたのが、ブリヂストンの契約プロたちだ。その手に握られていたのは……!?

今季国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」からプロトタイプが投入され、宮本勝昌を筆頭としたほとんどのプロが試合で即、使用開始。ギアへのこだわり、要求のレベルが高いブリヂストン契約プロが、こぞって新モデルへ切り替えたとあって、「いったいどんなドライバーなんだ!?」とメディアの間でも話題となっていた。

ソールの剛性を高くし、クラウンをたわませることで飛距離を生み出すブリヂストンのブーストパワーテクノロジーは踏襲しつつ、新モデルで大きな進化を遂げているのが、クラウン部分に新搭載されたテクノロジーだ。カーボンコンポジットのクラウンには、謎のストライプ模様が施されている。いったい、このストライプには、どんな機能が隠されているのか。

画像: カーボンクラウンにタイヤの構造からヒントを得た”筋金”を配することで初速を上げるという発想。タイヤメーカーでもあるブリヂストンならではのテクノロジーだ

カーボンクラウンにタイヤの構造からヒントを得た”筋金”を配することで初速を上げるという発想。タイヤメーカーでもあるブリヂストンならではのテクノロジーだ

メーカーの担当者を直撃取材すると、「これは単なるデザインではありませんよ。詳しくはまだ言えませんが、実は、このストライプ部分の素材は金属弦なんです。皆さんご存知のとおり、ブリヂストンはタイヤのメーカーです。タイヤはゴムの中にスチールコードが入っているのですが、そのタイヤの構造からヒントを得て、カーボンのクラウンに異素材の金属弦、つまり“筋金”を入れることで、初速を上げて、飛距離アップを追求しました。特許申請中の新技術を搭載しています。まさに“筋金入り”のドライバーというわけです」(商品企画の安藤靖さん)

「明らかに初速が上がった」近藤智弘

開幕戦のプロトタイプ投入時から、気になっていたストライプ模様の正体は、なんと“筋金”だったのだ。果たして、この従来にない斬新なテクノロジーの実力とは? さっそく、新作ドライバーの製品版をテストした直後の近藤智弘に話を聞いてみた。

「関西オープンからプロトタイプを使い始めて、今日初めて製品版をテストしましたけど、打った感触がすごく良いですね。感覚や球の飛び様を見ても、これは飛んでいるなと感じるし、実際にトラックマンのデータ計測でも、明らかに初速がアップして、飛距離も伸びています。新しく搭載された“筋金”の効果が数字にもはっきり出ていますよね。前作モデルよりもさらにスピンが減っているので、ハイロフトのヘッドをチョイスしていますが、余計なスピン量は増えずに、高い打ち出し角で飛んでくれる。飛ぶ条件が揃った、自分にとって理想的な球が打てるから、すぐにでも実戦投入したいぐらい」。

画像: 新ドライバーを投入後「ツアー選手権」と「ダンロップ福島オープン」で2戦連続5位タイと成績にも表れている近藤智弘プロ

新ドライバーを投入後「ツアー選手権」と「ダンロップ福島オープン」で2戦連続5位タイと成績にも表れている近藤智弘プロ

昨季は開幕前に発症した腰痛の影響もあり、16年間守ってきた賞金シードを喪失。今季は生涯獲得賞金25位以内の資格を行使してシード奪回を目指しているが、プロトタイプ投入後3戦目の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」、4戦目の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」と、2試合連続で5位タイの好成績をマークしている。

「ドライバーの不安が解消した」堀川未来夢

そして、同契約プロの堀川未来夢も“筋金入り”ドライバーの絶大な効果を実感しているという。「いままでのモデルと比べて、間違いなく弾きが良くなりましたね。カーボンクラウンに入った“筋金”のおかげでしょうね。ヘッドがたわんでいる感触も伝わってくるし、打感がやわらかいのにフェースが弾いてくれて、初速の速い球が出る。前モデルよりも飛距離が出るようになったし、キャリーも伸びています。正直、昨季はドライバーに不安があったんですけど、今季は新モデルに替えてから、試合でも結果が出ているんです。今日テストした製品版はその完成形という感じで、計測データの数値もさらにアップしました。もちろん即、実戦投入予定です」。

画像: ドライバーへの不安が解消した堀川未来夢プロ

ドライバーへの不安が解消した堀川未来夢プロ

今季の堀川のツアー成績を見ると、国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」からの8試合中、6試合で決勝ラウンドに進出。そのうちの4試合でトップ20入りを果たしている。ちなみに、昨季は1シーズンでのトップ20が4回だから、その好調ぶりが如実に結果となって表れている。またドライビングディスタンスでも、昨季の275ヤードから282ヤードと、7ヤードもアップしているのだ。

「限りなくストレートで球がねじれない」宮本勝昌

同社契約プロでは最古参リーダーといえる宮本勝昌も、「この進化はすごいですね。いわゆる“今風”の低スピン&高弾道タイプのドライバーはあまり好みではなかったんですけど、この新作モデルは初めて嫌な感じがまったくしなくて、スッと使えたんですよ。年々ヘッドスピードが落ちているのに、このドライバーにしてから初速が変わらないんです。いや、むしろアップして、飛距離も伸びている。サイドスピンが少なく、球がねじれないから、限りなくストレートにターゲットを狙っていけるのもいい。ここにも“筋金入り”の効果が出ているよね。製品版ではプロトタイプよりも打感や打音がさらに良くなっているし、試合で使うのが楽しみだね」。“筋金入り”という言葉の意味を辞書で調べると、「身体や思想が充分に鍛えられて強いこと」とある。

画像: 今まであまり低スピン高弾道は好みでなかったが、新モデルはかなりの好感触という宮本勝昌プロ

今まであまり低スピン高弾道は好みでなかったが、新モデルはかなりの好感触という宮本勝昌プロ

契約プロだけでなく、ブリヂストンのクラブを愛するアマチュアのアスリート派にも、こだわりや向上心を持った「意識高い系」の、まさに“筋金入り”のゴルファーが多い。ここ数年、アスリート系ドライバーは海外ブランドの攻勢が続いているが、国産ブランドの威信をかけ、同社が満を持して送り込む渾身の1本だけに期待は高まるばかり。目前に迫ったメーカーからの正式発表が待たれる。

写真/姉崎正

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