“左足のかかと内側の延長線上”。ゴルフをする人なら誰もが「ドライバーを打つ時のボールを置く位置ね」とすぐにひらめくはずだ。しかし、プロコーチ・井上透によるとその“教科書通り”のボール位置は必ずしもすべてのゴルファーにとって正しいものではないらしい。ツアーで活躍する女子プロ・幡野夏生とドライバーの平均飛距離260ヤードを誇る井上透の門下生・河野杏奈に普段のボール位置を聞いてみた。

ボール位置を決めるのはスウィング軌道

プロでも人によってかなりの違いがあるドライバーを打つときのボールの位置。女子プロの幡野夏生と井上透門下生の河野杏奈に「ボール位置ってどうしてる?」と聞いたところ、幡野夏生は「ボール位置は左足内側の延長線上」との回答だったが、河野杏奈は「ボール位置は夏生ちゃんより内側」と、幡野とは違いがある様子。

写真を見てもらえればわかるが、幡野はたしかに左足の内側にボールをセットしているが、河野はそれよりもずっと右足寄りにセットしている。この違いはどこから生まれているのだろう。プロコーチ・井上透に二人のボール位置の違いの理由を解説してもらった。

画像: 左が河野選手、右が幡野選手のボールの位置。河野選手の方がかなり体の中心寄りだ。

左が河野選手、右が幡野選手のボールの位置。河野選手の方がかなり体の中心寄りだ。

「幡野選手と河野選手を比べると、幡野選手は、クラブをタメる量が大きくてビハインドザボールが強い。傾向として、そういうタイプの選手は体の中心軸に対してボールを左側に置く傾向があります。河野選手は比較的リリースが早く体の正面で捉える選手。そういうタイプほどボール位置は中に入る傾向があります」(井上)

スウィングのタイプによって、打ちやすいボール位置はかなり変化するようだ。

「一般的に言われる“左足のかかと内側の延長線上”のボール位置は、ひとつのガイドに過ぎません。実際はスタンス幅が広い人も狭い人もいるわけですから、同じ“左足かかと内側線上”でも、スタンスの狭い人だとボールが中に入ることになってしまうし、スタンスが広い人だと左過ぎる。ひとつの例ですが、構えたときの左耳の前、もしくは左耳のちょっと左、など足基準ではないやり方も考えられます」(井上)

たしかに足基準でなければ、スタンス幅にも左右されない。しかし、アマチュアの場合、その正しいといわれるボール位置がうまく機能していないことが多いと井上コーチはいう。

画像: 「左足かかと内側線上」でなくとも、「左耳の前」といった基準もあると井上コーチは言う

「左足かかと内側線上」でなくとも、「左耳の前」といった基準もあると井上コーチは言う

「多くのアマチュアの人はカット軌道でクラブが上から入りやすく、正しいといわれるボール位置で打つと、比較的テンプラしやすいんです。このボール位置じゃなきゃ絶対ダメ、と決めつけずに探していけば、自分なりのボールの位置がきっと見つかります」(井上)

動画ではティの高さも含めたボール位置を3人の楽しいやり取りとともに詳しく解説している。是非チェックしよう。

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