ドライバーでパーを獲ることはできない!
もしアナタが今、就職活動の真っただ中で、希望の就職先の面接試験に向けて、準備をしているとしたら、まず何をしますか。過去の傾向などをいろいろ調べ、質問される可能性の高い順に、最適と思われる受け答えを考えて、本番に備えて、何度もリハーサルしますよね。
では、これをゴルフに置き換えてみましょう。
使用するクラブはドライバー、FW&UT、アイアン、ウェッジ、パター。プレーヤーのレベルによって多少の違いはありますが、1ラウンド18ホール中、いちばん使用頻度が高いのはどのクラブでしょうか。
これはもう、明らかにパターですよね。仮に、すべてのホールを2パットでカップインさせたとして、1ラウンドで36回打つ計算になります。プロや上級者は30パット以下、平均スコア90くらいの人だと、36パットくらい。100くらいの人なら、40パットオーバーも珍しくないでしょう。
ドライバーは、18ホール中4ホールはパー3だから、OBで打ち直しなどを除けば、最大でも14回しか打たない計算になります。パット数に比べたら、3分の1ほどしかないわけです。
さて、先ほどの面接試験の例から考えると、いちばんリハーサルすべきものは、当然パターですね。でも、アマチュアの皆さんの練習はそうなっているかというと、パターよりも、たった14回しか使わないドライバーを、必死に振り回しています。その状態で面接試験(ラウンド)に行くとどうなるでしょう。どうでもいい質問は無難に答えられたけど、面接官が重要視している質問はしどろもどろ……。間違いなく“不採用通知”が届くでしょう。
アマチュアは、ドライバーでナイスショットが出ると、それだけで「ヨッシャー!」と満足してしまいがちですが、どんなに目の覚めるようなドライバーが打てても、最後にボールをカップに沈めるのは、パターかもしくはアプローチです。
プロの試合を見に行くと、コンスタントに好成績を挙げて、お金を稼いでいる選手はパターとアプローチの練習に、いちばん時間を使っています。ドライビングレンジでボールを打つより、練習グリーンやアプローチグリーンにいる時間のほうが、圧倒的に長い。真っ暗になるまで、ひたすら練習グリーンでボールを転がしています。
ドライバーで、パーやバーディを獲ったりすることはできません。ですから、パターやアプローチをメインに練習しないと、レベルアップもスコアアップも望めないわけです。
100回以上叩く人、90を切れない人のスコアを分析すると、手っ取り早くスコアを縮められるのは、グリーン周りなのです。
そこそこのショットでグリーン近くまで運んできても、アプローチでチャックリやザックリに往復ビンタ、バンカーから脱出できない……。やっとグリーンに乗っても3パット、4パットの嵐。もう、これだけですごい数ですよ。
ピンに寄らなくても、1回でグリーンのどこかには乗せられる。たまに3パットもあるけど、たいていは2パットで収まる。この程度の技術があれば、100切りなんて簡単です。
「ゴルフは100球打つより見てなんぼ!」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/有原裕晶