年に一度しかない全英オープン。誰もが早めにヨーロッパに乗り込み準備をする夢の舞台にスタートわずか2時間前に滑り込んできた男がいる。南米ベネズエラ出身、ツアー通算3勝のジョナサン・ベガス(33歳)だ。いったいベガスになにがあったのか?

「まるでホラー映画の主人公になった気分だった」

スコットランド、カーヌスティで幕を開けた全英オープン。大会初日ベガスは5オーバー76を叩き129位タイと大きく出遅れた。それでも1ラウンドを無事乗り切れたことに安堵の表情。

画像: ツアー通算3勝のジョナサン・ベガス(写真は2017年のマスターズ 撮影/姉崎正)

ツアー通算3勝のジョナサン・ベガス(写真は2017年のマスターズ 撮影/姉崎正)

彼には十分すぎるほどの言い訳がある。そもそも前週のうちにスコットランド入りしリンクスの感触を確かめるつもりだった。ところがいざ出発という段になってふとパスポートを見ると渡航に必要なビザが切れているではなか!

「でもまぁ申請すれば24時間以内にビザが取れる」とタカをくくっていたが、待てど暮らせどなしのつぶて。やがて間違ったビザを申請していたことに気づき慌てて再申請。そうこうしているうちに週をまたぎ結局現在住んでいるアメリカからトロント経由でグラスゴー空港に到着したのが大会初日の朝だった。

マネジメント会社の手配でグラスゴーからカーヌスティまでヘリコプターをチャーター。本人はスタートの10時31分までに2時間を切ったところで会場に到着したがクラブは間に合わず。メーカーの試打用クラブをかき集め「練習場で20球打った。仕方ない、やるだけやろう」と開き直り初見のコースへ飛び出した。

それでも8番までは1オーバーとなんとか踏ん張ったが「そろそろいいかな」と慣れないドライバーを使い始めるとショットが乱れ結局5オーバーを叩いてしまった。だが前述の通り本人の表情は明るい。

「先週のドタバタ劇はまるでホラー映画の主人公になった気分だったよ。でもどんなことがあってもメジャーの舞台に立ちたいという執念でここまで来た。実際立ってみて? 最高だよ。ジ・オープンだからね。プレーしていてとても楽しかった」

全英オープンは昨年に続き2度目の出場。予選落ちに終わった前回の雪辱を果たすべくカーヌスティにやってきたがリベンジは……? 本人が楽しんでいるのだからそれで良いか。

ところで大会初日、日本勢最上位は1アンダー70の池田勇太で18位タイ。海外では結果を出せていない池田だが本人は「なにかきっかけがあれば十分戦える」と自信をのぞかせる。今週こそ真価を見せつけて欲しい。

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