――多くのアマチュアは「ティショットで左へ引っかけるミスがワンラウンドに何回か出てしまうのが悩み」といいます。やはりアウトサイドイン軌道が多いアマチュアには、引っかけはつきもので、仕方のないものなのでしょうか。
パー5や長いパー4、ドラコンホールなど、左への引っかけは遠くへ飛ばそうとしたときに出やすいですよね。これはやはり、アウトサイドイン軌道が強くなりすぎるのが原因です。このとき、インパクトでフェースがかぶれば、左に打ち出して、さらに急激に左に曲がる引っかけチーピンになります。
いずれにしても、ボールを強く叩こうとして下半身が止まり、手打ちになってしまうのが引っかけの原因です。飛ばそうとすると、普段よりスタンスが広くなったり、重心を落として下半身をどっしりとさせた構えになりやすい。
しかし、アドレスで下半身を固定するほど、スウィング中に下半身の動きが止まりやすくなります。その結果、切り返しで右肩が早く前に出てアウトサイドインの軌道が強くなり、左へ引っかけるミスが出やすくなるのです。
――その原因からすると、体全体を一体化して振ることができれば、引っかけは出ないということですね。
そのとおりです。体全体を動かすためには、まずアドレスの前後の体重配分が重要になります。私が見る限り、引っかけのミスに悩んでいる人の多くは土踏まずからかかと寄りに体重をかけてアドレスしています。これでは体全体をスムーズに動かすことはできません。アドレスでは土踏まずよりも少し前、つま先に体重を乗せておくことが大切なのです。
――なぜ、かかと体重では一体化できないんですか。
試してみるとわかりますが、かかと寄りに体重を乗せると腰の位置が低くなって重心が下がり、どっしりとした構えになってしまうんです。アドレスでは重心を下げるのではなく、むしろできるだけ上げて高くしたほうがいい。それには、かかと体重ではなく、つま先寄りの体重で、いつでも走り出せるように構えたほうがいいんです。
――いつでも走り出せるように構える?
野球の外野手やテニスの選手は、飛んで来るボールを待っているときは常にかかとを浮かせてつま先体重で構えますよね。つま先寄りに体重を乗せたほうが重心を高い位置にキープしやすく、瞬時にボールに向かって走り出せるからです。ゴルフのアドレスもそれと同じで、足の指の付け根部分に体重を乗せたほうが、体全体でスムーズにスウィングしやすいのです。
「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/松岡誠一郎