ティーチングプロ兼クラブフィッターとして活躍する関雅史が自身のYouTubeチャンネルに公開した動画で、今年購入したドライバーの中でも、おすすめのモデル3本を発表。その3本は、すべて基本的には「アマチュア向け」。なぜプロがアマ向けモデルを自腹で買うのか? 関本人に聞いてみた。

YouTubeの動画の中で関がオススメしていたのは、ヤマハのRMX218、マルマンのマジェスティ ロイヤルSP、そしてキャロウェイのローグ(レギュラー)。3本ともプロが使うこともあるが、基本的にはアマチュア向けのモデルだ。

画像: ヤマハ「RMX 218」。つかまりの良さを追求してつくられたという1本(撮影/青木慶太)

ヤマハ「RMX 218」。つかまりの良さを追求してつくられたという1本(撮影/青木慶太)

プロは、とりわけボールをつかまえに行ったときに左にミスすることを嫌う。そのため、つかまりの良さが魅力のアマ向けモデルは「左に行くのが怖くて使えない」という場合が多いが……。単刀直入に聞いてみた。

「たしかに、一昔前はつかまらないクラブを使い、つかまる打ち方をするのがプロの常識でした。しかし、最近、とくに海外のトップ選手などは、つかまえる動きをスウィングに入れず、その分つかまるクラブを使うケースが増えているんです。つかまえるスウィングはフェースの開閉を伴うため、どうしても左へのミスが防ぎきれない。一方、無理につかまえにいかないスウィングは方向性も安定しますから」(関、以下同)

画像: マルマン「マジェスティ ロイヤルSP」。反発エリアを前モデルより37パーセント拡大させた、飛びに特化したクラブ(撮影/青木慶太)

マルマン「マジェスティ ロイヤルSP」。反発エリアを前モデルより37パーセント拡大させた、飛びに特化したクラブ(撮影/青木慶太)

ややマニアックな話になるが、関いわく、つかまるクラブとは重心角の大きいクラブのこと。重心角は重心距離が長く、重心深度が深いほうが大きくなりやすく、大きいとインパクトでフェース面が左を向きやすくなる。つまり、つかまりやすくなる。

関が自身でも使うというRMX、マジェスティ、ローグの3本も、それぞれ程度に差があれど、重心角が大きくつかまるドライバーだ。

そして、「無理につかまえないスウィング」とは、これまた関いわく右手首の角度をインパクトまで極力キープする打ち方のこと。そのように振るとフェース面はインパクトで右を向きやすい。つまり、つかまらない。両者の作用により、結果的には真っすぐ飛ぶということだ。

シャフトの進化とヘッドの寛容性の高まりにより「軽いシャフト」を選べるように

また、プロがアマチュア向けモデルを「使える」ようになった背景には、シャフトの進化とヘッドの寛容性の高まりがあると関は言う。

「以前私は70グラム台のXシャフトを使用していましたが、今は60グラム台を使用しています。シャフトが進化した結果、軽くても硬度が保てるようになってきたからです。実は、重いシャフトは(ボールをつかまえる動きである)ローテーションを入れないと振り切れないので、つかまるヘッドとの相性が良くなかったんです。

一方、軽いシャフトはローテーションを入れなくても振れますし、軽い分ヘッドスピードもアップします。アマチュア向けのヘッドは寛容性(ミスヒットへの強さ)も高いですから、ローテーションを入れないスウィングと相性が良く、ミスに強いこともあって“振れる”分だけ飛ばせるというわけです」

つかまるヘッドと軽いシャフト。これが昨今の世界のプロの驚くべき飛距離の秘密のひとつというわけだ。最後に関に、今年に入って何本ドライバーを購入しているか、聞いてみた。

画像: キャロウェイ「ローグ」。プロ使用の多い「ローグ サブゼロ」ではなくこちらがエース候補なのだとか

キャロウェイ「ローグ」。プロ使用の多い「ローグ サブゼロ」ではなくこちらがエース候補なのだとか

「RMX218、ローグ、マジェスティ ロイヤルSPのほかに、テーラーメイドのM3、キャロウェイのローグ サブゼロ、ピンのG400LST、本間ゴルフのTW737 450……この7本ですかね。もしかしたら、思い出せないだけでもっと買っているかもしれませんが(笑)」

関いわく、クラブは自腹で買わないと本当の性能は見極められないという。そして、使い込むことで、「このクラブにはこのシャフトが合いそうだ」「この組み合わせはあのお客さんにピッタリだ」と発想がどんどん湧いてくるのだという。つまり、クラブフィッターとしての仕事の一環というわけ。

趣味と実益がガッチリと噛み合ったプロゴルファーのクラブ選び。参考になると同時に……うらやましい!

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