開催中のWGC(世界ゴルフ選手権)ブリヂストン招待。そこで取材中の月刊ゴルフダイジェスト編集部ツアー担当のケンジロウが注目したのは世界の飛ばし屋・左打ちのバッバ・ワトソン。実はワトソンはゴルフカメラマン泣かせの選手なのだとか。一体なんで!?

こんにちはケンジロウです。アクロンのファイヤーストーンCCからお届けしております。WGC(世界選手権)ブリヂストン招待は決勝ラウンド3日目土曜日が終わりました。今日はみんな伸び悩みましたね。ジャスティン・トーマスがひとり抜けた形で14アンダーで首位、2位タイのマキロイとポールターとは3打差がついています。

注目のタイガーは、スコアを2つ落としてしまいました。トップと11打差。ちょっと優勝には厳しい位置にいますね……。

さて今日の話題はというと、世界の怪物シリーズ第2弾、バッバ・ワトソンです。今年はジェネシスオープン、デルマッチプレー、そしてトラベラーズ選手権に勝って3勝しています。ライダーカップ(米欧対抗のチーム戦)出場に向けて気合十分の鼻息の荒いシーズンとなっていますね~。

今日の話の前に前置きをひとつ。バッバは左利きなので、スライスは右に出て左曲がりフックは左に出て右曲がりという前提で読んでくださいね。

バッバ・ワトソンといえばマスターズ優勝のときプレーオフで10番の右の林の中からの“どフック”が思い出されますが、基本的には球を曲げてコースを攻めていくタイプです。彼のプレーをみているとドライバーはスライス系の球が多くアイアンはフック系の球が多い印象がありますね。

画像: 弾道が写真のフレームから外れやすい男、それがワトソン。この写真も、スタンスの向きと出球の方向が逆に見える!?

弾道が写真のフレームから外れやすい男、それがワトソン。この写真も、スタンスの向きと出球の方向が逆に見える!?

ただし状況によって信じられない方向を向いて信じられない球を打ったりするので、いったいどこを向いてどういう球を打つのかが、まったく予測のつかない選手といえます。3年前にVISA太平洋マスターズ出場で来日したときも、驚かされたのを覚えています。

練習日に太平洋御殿場の6番ホールでプロの連続写真を撮っていたときのことです。バッバはドライバーを抜くと、いきなり右の林方向を向きました。いったい何をしているんだろうと思ったら、なんとその林の上を越える高い球で大きく左に曲げてフェアウェイを狙ったんです。まさにビッグスライスボール、ボールはフェアウェイをとらえました。カメラマンたちはみなあ然としていましたね。

今週のブリヂストン招待でもプロの連続写真を撮っていたのですが、さて困ったのはバッバ・ワトソンの後方からの連続写真です。バッバはどこを向くかわからず、しかも結構なオープンスタンスなので何がスクェアかわからず、正解がわからないんです。そもそも正解なんかないんでしょうけどね…(笑)。

予選ラウンド、初日、2日目とバッバと同組で回っていた時松隆光にバッバの打ち方と狙い方について聞いてみました。

画像: 予選ラウンド、初日、2日目とバッバ(写真左)と同組で回っていた時松隆光(写真右)

予選ラウンド、初日、2日目とバッバ(写真左)と同組で回っていた時松隆光(写真右)

「ドライバーは100パーセント、カットで(スライス目に)打っていますね。でもコスっているんですけど、結局すっげー飛んでいるんですよね。真っすぐとかドロー打ったら恐ろしく飛ぶんじゃないですかね。アイアンは初日は全部ドローで打っていましたが、2日目ショートホールのとき左ピンでどうするのかなぁと思っていたらアイアンでもカットを打っていましたね。でもスライスでもフックでもオープンスタンスで右足を引きながら打つんですよ」(時松)

なるほど。今回は“モンスター”の異名を持つ16番ホールで連続写真を撮っていたんですが、バッバは初日は右の林の方向を向いてその方向に打ちだしましたがカットがかからずにそのまま林の中へ。二日目は同じ方向を向き、しっかりとカットがかかり、右サイドのバンカーを越えてキャリーし、左のファーストカットまで転がっていました。こちらがその連続写真です。

これはそのナイスショットを打った2日目のものですね。まさに御殿場のときと同じ弾道。今回この連続写真を撮影した姉崎カメラマンに後方の連続写真をどのように撮っているのか聞いてみました。

「選手に目標を聞けたら、その言われた目標と選手を結んだ線の延長上の後方から写真を撮るのが基本です。ただ試合中は狙いなど聞けないので、その場合は選手がボールの後ろに立って目標を見た時にだいたいの狙いを推測してその飛球線後方で撮ります。でもバッバ・ワトソンだけは、正直、何が正解かわからないんですよね。あれだけフレームから出球が外れやすい選手はなかなかいませんよ」
(姉﨑カメラマン)

まさにカメラマン泣かせ。でも2日目と3日目はこのホールでバーディ、3日目はドライバーで361ヤード飛ばしていますからね。モンスターみたいな選手がビッグスライスで“モンスター”を攻略する。WGCでは想像の範疇を越えた規格外の戦いが繰り広げられているんです。

写真/姉﨑正

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