マレットはマレットでも性能は大きく違う
みなさんこんにちは。店長の小倉です。ちょっと前になりますが、タイガー・ウッズが使用したパターが話題になりました。タイガーは、ずっとブレードタイプのパターをエースとして使用していて、何度か違うパターを持ったこともありますが、しばらくすると元のブレードタイプに戻しています。絶対的なエースとしてブレードタイプがあり、不調なときなどに違うパターを使用したりしているようです。
さて今回は、タイガーの使用したマレットに注目する……のではなく、マレット形状のパター全体のお話をしようかと思います。なぜなら、最近のマレットタイプは、同じグループにくくれないぐらい性能に差があるからです。
最近のマレットは投影面積が小さめで小ぶりないわゆる普通のマレットタイプと、投影面積が大きくヘッドも大きいいわゆるネオマレットと呼ばれるタイプに分かれます。このタイプの違いは、見た目の違いもあり、ブレードよりも打点のミスに強くて多少操作性もあるマレットタイプとオートマチック(振り子のようにヘッドの重さを利用してストロークする打ち方)でとても打点のミスに強いネオマレットとおおよそズレた認識を持っている方は少ないでしょう。
今回お話したいのは、ネオマレットタイプの中に特性がかなり違うものが混在しておりますよ~というところ。見た目通りミスに強くてオートマチックに打ちやすいモデルもあれば、投影面積が大きくて、いかにもオートマチックに打ちやすそうなのに意外にも操作できるタイプが存在するのです。
ネオマレットはここ10年ぐらいに急速に発達したグループで、当初はオートマチックな特性のモデルがほとんどでした。しかし流行しだした時期にツアープロや上級者などに多く受け入れられたのが、形状を最大限生かしたオートマチックなモデルではなく、当時少数派だったある程度操作性を残したマレットでした。当時のヒットした体表的なモデルがオデッセイの2ボールや#7ですね。
操作性を重視するならただのマレットで良いじゃないと思うかもしれませんが、投影面積が広くて操作性が良いモデルにもちゃんと独自のメリットがあります。それはアライメントの取りやすさ。つまり目標にフェースが合わせやすいんです。
ブレードタイプや小型のマレットだと投影面積が狭いので、サイトライン(フェースの向きを分かりやすくするためにヘッドに入れる線)を短くしか入れられませんし、小さめのヘッドはやはり大きいヘッドに比べて芯が狭いモデルが多く、シャープなイメージがあるので視覚的にも技術的にもプレッシャーがかかりやすい。投影面積が広ければ、安心感はありますし、長いサイトラインを入れたり、形状に凝ったりすることができるので目標にあわせやすいモデルが作れます。
多くのゴルファーが構えやすさや、やさしさを求めてネオマレットを試し「やっぱり少しは操作性が欲しい」という意見と「見た目通りのオートマチックなやさしさが欲しい」という意見に分かれたのでしょう。現在は、どちらのモデルもそれぞれのメーカーから量産されています。
では、操作性のあるネオマレットとオートマチックなネオマレットはどうやって見分けるか? ですが、これは簡単です。重心角をチェックすればよいのです。重心角とは、ヘッドを宙に浮かせた状態でシャフトを支えた時のフェースの角度とシャフトからの垂線が作る角度の事。端的に言えば、フェースの傾きがどれくらいなのかで判断できるということです。
フェースが上を向くモデルほどオートマチック寄りです。フェースが上を向くモデルはストローク中、ヘッドが捻じれにくいので重さを使ってオートマチックに振りやすくなり、フェースの傾きが大きいモデルほど、ストローク中にヘッドがターンしようとするので、スイングするクラブと振る感覚が近くなり、操作がしやすくなります。ちなみにタイガーが使用しているモデルは、操作性を残したモデルですね。
どのモデルが自分に合っているかは、最終的に打って確認するしかありませんが、ネオマレットだからオートマチックだろうと思い込むのは危険です。そして食わず嫌いももったいない。パターは簡単に試打できるクラブなんですから、是非ショップなどに足を運び、色々なパターを試してみてください。もし気持ち良く打てるパターが見つかったら、なぜそれが気持ち良いのかを考えてみると良いですよ。それが判明できれば、もうパター選びに悩むことはなくなるかもしれません!
撮影/田中宏幸