パーオン率72.22%で堂々の1位につけている宮里優作(8月15日現在)。2017年賞金王で、今季は欧州を中心に海外での試合に積極的にチャレンジするツアー屈指のショットメーカーである宮里優作のスウィングを、プロゴルファー中村修が解説。

フェースの開閉をおさえたライン出し

宮里優作選手のスタッツを見てみると、「パーオン率」が1位、そしてドライバー平均飛距離とフェアウェイキープ率のランキングをポイント化した「トータルドライビング」のランキングでも1位と、ドライバーとアイアンのショット力の高さが光っています。

実際に、私が現地で取材した全英オープンで見せてくれたシビアなピンを攻めるライン出しショットは見事でした。

画像1を見てください。それぞれ別のショットではありますが、注目はフォローでのフェースの向き。両方とも、フォローで手元が肩より少し上になっている状態で、フェースがターンしすぎていないのがわかると思います。

このとき、左手首は少し甲側に折れ、左わきはしっかりと締まっています。ここに宮里選手のライン出しの秘密があります。

右手のひらが下を向くくらいフェースを返してしまうと、ボールをしっかりとつかまえて強いボールを打つことができますが、左へのミスの危険性も増します。

一方、左手首を甲側に折る動きであれば、フェースがターンする割合が少ないため、最低限ボールをつかまえつつ、左へのミスを抑え、フェース面を管理してライン出しをすることができるんです。また、左わきが締まることでスウィングにゆるみもありません。

画像: 写真1 全英オープンでライン出しショットを多用して戦った宮里優作(2018年全英オープン 写真/姉崎正)

写真1 全英オープンでライン出しショットを多用して戦った宮里優作(2018年全英オープン 写真/姉崎正)

実は、世界ランク3位のジャスティン・トーマスや、全米プロで最後の最後まで優勝争いを繰り広げたアダム・スコットも同じ左手首の使い方をしています。左へのミスを避けつつターゲットを狙い打つ、世界レベルの技術であることがわかります。

画像: 写真左はジャスティントーマス(WGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)写真右はアダムスコット(2017年全米オープン写真/編集部)。いずれも、フォローで左手首は甲側にわずかに折れている

写真左はジャスティントーマス(WGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)写真右はアダムスコット(2017年全米オープン写真/編集部)。いずれも、フォローで左手首は甲側にわずかに折れている

もちろん、ただ左手首を曲げればいいのではありません。高等技術となりますが、インパクト後に左手のグリップを内側に絞るように使うと左手首と左わきが締まって、フェースコントロールの精度が高まり、方向性と距離感を両立したショットを打つことができます。

アマチュアの方にとって真似するのは簡単ではないですが、試す価値はあります。極端なフックやウィークグリップで握っていないことが条件になりますが、とくに左ひじが抜けてしまってボールがつかまらない人は、まずは素振りからこのフォローでの左腕と左手首の使い方をマネしてみてください。アイアンの方向性向上にきっと役に立つはずですから。

アマチュア時代からプロの舞台で活躍し、プロでの紆余曲折を経て賞金王まで登り詰め、現在は海外ツアーにも挑戦し続ける宮里優作選手。このショットの精度があれば、世界で活躍する可能性も十分にあると思います。

写真/姉崎正

宮里優作のアイアンショット連続写真

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