開幕戦を29歳の重永亜斗夢が制し、28歳の秋吉翔太が2勝、24歳の時松隆光が賞金王レースをリードし、直近のRIZAP KBCオーガスタは25歳の出水田大二郎が制した。なんとなく、ツアーが若返っている気がするが……果たして実際はどうなのか、調べてみた。

かつては「男子ツアーは層が厚く、経験が重要なため、20代で勝つのは難しい」と言われたものだが、今や20代選手が勝つのはまったく珍しくない。とくに今年はどんどんイキのいい若手が出てくる印象があるが、実際のところどうなのか。

画像: 2018年は20代選手の活躍が目立つように思えるが、実際はどうか(写真は左上から時計回りに重永亜斗夢、時松隆光、出水田大二郎、秋吉翔太 撮影/姉崎正)

2018年は20代選手の活躍が目立つように思えるが、実際はどうか(写真は左上から時計回りに重永亜斗夢、時松隆光、出水田大二郎、秋吉翔太 撮影/姉崎正)

まずは、各シーズンごとの優勝者の平均年齢を、過去10年にさかのぼって調べてみた。それが以下。カッコ内の数字は、10代、あるいは20代の選手の勝利数だ。

2008 32.5歳(6)
2009 30.6歳(7)
2010 29.6歳(13)
2011 30.52歳(11)
2012 33.64歳(7)
2013 30.21歳(11)
2014 34.47歳(7)
2015 32.41歳(9)
2016 30.12歳(12)
2017 32.375歳(9)
2018 34.9歳(5)

というわけで、まだシーズン半ばの参考値ではあるものの、なんとここ10年の中で、優勝者の平均年齢がもっとも高いのが今年という結果となった。重永、秋吉、時松、出水田ら20代選手が活躍する一方、46歳のY・E・ヤン、50歳の谷口徹、44歳のブラント・ケネディらベテランの活躍も目立ったのがこの結果となっている。重松、秋吉、出水田と20代の初優勝者が目立つからイメージ的には若返りを感じるが、実際はそんなことはない……?

ちなみに、2009年から2011年にかけて、他の年に比べてググっと平均年齢が下がっているが、これは“10代選手”たちの活躍によるところが大きい。2009年、2010年には石川遼が10代の若さでそれぞれ3勝と驚異的パフォーマンスを発揮し、2011年は当時19歳の松山英樹とハン・ジュンゴンも勝利。そこに、池田勇太、キム・キョンテら当時20代前半の選手たちの躍進が重なったのが優勝者平均年齢を大きく引き下げている要因だ。

画像: 2008年の初優勝からの数年間、当時10代の石川遼はツアー優勝者の平均年齢を引き下げ続けた(写真は 2018年ダンロップ・スリクソン福島オープン 撮影/岡沢裕行)

2008年の初優勝からの数年間、当時10代の石川遼はツアー優勝者の平均年齢を引き下げ続けた(写真は 2018年ダンロップ・スリクソン福島オープン 撮影/岡沢裕行)

同じく平均年齢が低い年を見ると、2013年は松山英樹が年間4勝している年。一方、2014年、2015年と石川、松山が米ツアーに主戦場を移した後の日本ツアーは平均年齢が上昇。2016年は石川、松山、時松、小平智、片岡大育ら8人の20代選手が優勝したことで、平均年齢が下がっている。

この数字だけ見ると、有望な若手は続々と登場しているものの、ツアー全体としての「若返り」は起きていない印象だ。では、ツアー上位選手の平均年齢を比較してみたらどうか。現在の賞金シードの基準である、賞金ランク上位60名の選手の年齢を、現在、5年前、10年前で比較してみた。

その結果が以下だ。

2008年 34.4歳
2013年 35歳
2018年 31.75歳

石川遼が初優勝を挙げた10年前、松山英樹が国内賞金王となった5年前で変わらなかった賞金上位選手の平均年齢は、なんと今年大幅に引き下げられていた。その内訳を見てみると、賞金ランク60位以内の20代選手は2008年には10人、2013年には15人だったのが、今年はなんと30人に大幅増。

各年代のうち、20代が最大のボリュームゾーンで、以下30代が19人、40代10人、50代が谷口徹一人、というのが現状だ。

ベテランの活躍も嬉しいが、やはりイキのいい若手が躍動してこそスポーツは盛り上がる。元気がないと言われる男子ツアーだが、水面下ではふつふつと、若いエネルギーが湧き出そうとしているようだ。

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