マネジメント=根拠に基づいた、確率が高い方法を選択すること
ゴルフにおいてマネジメントをするということは、何を意味するのか。プロにとってのそれは優勝争いの最終日の上がり3ホール、緊張下で肉体、そして精神への影響がある中、自分の普段のパフォーマンスが自信をもってできるように準備することだ。
そして、そのためには緊張下で起こりえるミスの傾向、そして自分のゴルフの傾向を把握することが重要だ。それらを逆算して日々の練習、生活を意識していくことも必要不可欠となる。
上で書いたのは全体的なゴルフのマネジメントだが、よく聞くコースマネジメントというのはその中の1つで、最低限下記の項目を把握しておかなくてはならない。
・アドレスするときのミスの傾向
・各番手のフェアウェイから打った場合の距離
・各番手のラフから打った場合の距離
・フェアウェイからのショットミス傾向
・ラフからのショットミス傾向
・ドロー、フェードの打ち分けの有無、そしてその時のミスの傾向
・1メートル、3メートルからのパット成功率
・グリーンサイドバンカーショットの成功率
・フェアウェイバンカーからのミスの傾向
・各状況下でのアプローチ成功率
まだまだあるのだが、最低限これぐらいは必要な項目だ。
これらをもとに、それぞれのコース形状に当てはめていく、それがコースマネジメントをするということであり、イチかバチかではなく、根拠に基づいた、目的達成のためにうまくいく確率が一番高い方法を選択することである。
以前タイガーウッズは2打のリードをもって最終ホール(パー4)を迎えたときに、アイアンでティーショットをし、2打目も刻み、3打目をウェッジで確実にグリーンをとらえ、2パットであがった。ボギーを前提(絶対にダブルボギーを叩かない)にプレーし、逃げ切り優勝したのだ。ある状況下において目的達成のために一番確率の高い選択をする。マネジメントをするということを見せつけられた試合だった。
女子ツアーでは先週、黄金世代の原英莉花選手が自己最高の3位タイの結果を残し、話題を呼んだ。バーディ率が現在1位とノリに乗っているが、バーディ率と賞金ランキングの相関は高いにも関わらず、現在の原の賞金ランキングは思いのほか低く、気になるところだ。
最終日の最終ホール、持ち前の正確なショットで見事にピンに1メートルほどにつけたが、そのパットを外し、2位タイを逃してしまった。その前々週で自己最高7位タイの結果を出した時も最終日最終ホールで同じく短いバーディパットを外して順位を落とした。
上位争いをしているときは、1打の重みが金額換算すると増してくるため、より重要になってくる。その時にできるだけいいパフォーマンスをするための準備がマネジメントだ。
先週の1メートルほどのパットはなんと280万円も差を生むものになっただけに悔しさは大きいだろう(ただ、試合後のコメントは非常に前向きなもので素晴らしかった)。1メートルのパットをもっとしっかり入れるというのは全選手において非常に大事なものだが、原選手にはそれ以上に気になった数字があった。
原選手はその試合でバンカーに4回入れていて1回だけ1パットでしのいでいる。これは実に25%だ。そして今年のバンカーセーブ率を見てみたが31.25%とかなり悪い。最低でも50%にしたいところだ。
「バンカーのパフォーマンスをよくする」これも練習においての立派なマネジメントだ。ただ、いきなり上手くなるわけでもないので、「バンカーに入れない」という攻め方を選択することが今の原選手にとって必要な対処だ。それが今できるコースマネジメントということになる。
原選手はデータ上、バンカーに入れたら3回に2回以上はボギーになる。まさにハザードだ。なので、まずはバンカーに入れない徹底的な攻め方をするということが単純に求められる。もし、そのマネジメントができていたなら最後のパットの結果にかかわらず2位タイという結果は容易に得られただろう。
期待の新人・原選手でも3回に1回成功しないのだ。なので、アマチュアの方は、よほどバンカーに自信がない限り、バンカーを池同様のハザードとみなしクラブ選択、そして狙いを定めていくと大たたきは減り、スコアも多少安定していくはずである。
PGA(米男子)ツアーのトッププロは当たり前のように自分の傾向、長所、短所と向き合い、それらを踏まえて練習し、コースマネジメントしている。是非そういった全体的なマネジメントを意識し、取り組んでいったら更なる飛躍は間違いないだろう。