初心者ゴルファーがゴルフ場でまず教わることの一つに「打ったボールが他の人に当たりそうなときは大きな声で『ファー!』ということ」がある。でも、この「ファー!」ってどういう意味で、どうして使われ始めたのだろうか?
意気込んで打ったティショットが思い切り右に曲がり……あわてて「ファー!」。ゴルフを始めた頃は大きな声を出すのがちょっと気恥ずかしく感じるが、人に怪我をさせたら大変なこと。打ったボールはコントロールできないので、思い切り「ファー!」と危険を知らせるのがゴルファーなら守らなければならない“常識”だ。
さて、なぜ「あぶなーい!」でもなく、「気をつけてー!」でもなく「ファー!」なのか。実はこの「ファー!」は正式には「フォアー!」と表記すべきもので、綴りは「fore」すなわち“前方”という意味。なんでも、1881年のゴルフ書にこの言葉が載っているというから、少なくとも100年以上、ゴルファーは「フォアー!」と叫び続けてきたことになる。
一歩進んで、なぜ「ファアー!」となったかには諸説あり、ティショットの落下地点に先回りしてボールの行方を確認する「フォアキャディ」に危険を知らせるためという説と、軍隊で後方の砲撃手が前方の歩兵にかける掛け声「beware before(前方注意)」から転じて、さらに短縮されたという説が有力なのだとか。
「フォアー!」の声は「ボールがそっちに行くから気をつけて!」の声。それが聞こえたら、すぐに頭を覆って、声の聞こえた方向から飛んでくる可能性のあるボールに、最大限の注意を払おう。