難コース・富士桜CCを舞台にしたフジサンケイクラシックは、星野陸也のツアー初優勝で幕を閉じた。なんといっても目を引いたのはその圧倒的な飛距離。細身の体でぶっ飛ばす星野スウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

なんといっても飛距離。そして、その飛距離を生かしたスケールの大きなゴルフが魅力の星野選手。スウィング的にも、ダイナミックで非常にいいものがあります。

星野選手のスウィングで特徴的なのは、バックスウィングの始動でいきなり顔が後ろを向くところ。真似してみるとわかると思いますが、顔を向けると体は回りやすくなるため、これによりバックスウィングが非常に深く入る。スウィングの早い段階で体の回転が完成するため、手打ちになりようがありません。

画像: バックスウィングの始動で顔を後ろに向けることで早い段階から上半身の回転が始まる

バックスウィングの始動で顔を後ろに向けることで早い段階から上半身の回転が始まる

トップのカタチを見ると、一見オーバースウィングに思えるかもしれませんが、これは悪いオーバースウィングではありません。手でクラブを上げた結果振り上げすぎてオーバースウィングになるのは良くありませんが、星野選手の場合、それだけ体が回っていて助走が長く取れているということ。

ダウンスウィングに入る時、野球のピッチャーがトップからホームベース方向に倒れ込んで前足に体重移動させるように、まずターゲット方向に背中が倒れ込みます。これは野球でいえばスピードボールを投げるために必須の動きですし、ゴルフでいえば飛ばす動きです。

画像: トップからの切り返しで背中がターゲット方向に倒れこむことでダウンスウィングで左に体重がしっかり乗せられる

トップからの切り返しで背中がターゲット方向に倒れこむことでダウンスウィングで左に体重がしっかり乗せられる

このような動きをするプロに、たとえば有村智恵プロがいます。彼女の場合、コンパクトなスウィングながらこの動きを入れて飛距離を出していますが、星野選手の場合は大きいバックスウィング=体の回転に加えてこの動きを使うことで、圧倒的な飛距離を稼ぎ出しています。

一方で、下半身の動きは非常に静かです。ワイドスタンスに構え、両ひざの動きは小さく、センター軸で左右にあまり体重移動はしていません。上半身の回転はダイナミックですが、下半身の動きは静か。それにより、ドラコン用のスウィングではなく、しっかりと狙える、正確性も担保しています。

186センチの上背から繰り出される300ヤード超の飛距離。22歳という若さ。間違いなく、スター誕生の瞬間と言えると思います。

今年全米オープンで初めてメジャーに挑み、予選落ちを喫した星野選手。世界との差を痛感しつつも、そこへ挑みたい気持ちも強く芽生えたことと思います。そして、彼のポテンシャルならば米ツアー、そしてメジャーで優勝争いに絡むこともまったく夢ではないと思います。

思い返せば2017年の開幕戦、「今年からすごい選手がレギュラーに来る」と会場でのウワサ通りに優勝争いを演じたのが星野選手でした。まだ22歳。優勝を決めた後、グリーンサイドでご両親の顔を見て、安心したのか涙をこぼす姿からは、まだまだ少年のような雰囲気を残します。

これからどんどん強くなる。その姿を、楽しみにしたいと思います。

This article is a sponsored article by
''.