一般ゴルファーにはあまり馴染みがないが、日本の各地区には「プロ会」と呼ばれる組織が存在する。その県、あるいは地域のプロゴルファーによる団体で、地区オープンや研修会などを実施したり、勉強会を開催するのが主な活動だ。
愛知、岐阜、三重の中部三県のプロゴルファーの多くは「中部プロ会」という組織に所属。今回設立された愛知県プロゴルフ協会は、その中部プロ会から派生して生まれた団体だ。なぜ、新設する必要があったのか? 桑原克典は言う。
「愛知県は大きな県で、スポンサー企業も多くいます。しかし、県のプロ会は存在しなかったんです。僕たちの時代はいい時代で、出ようと思えば試合が多くありましたが、今はそういう時代ではありません。愛知プロ会がないことで、愛知の若手プロは三重県オープンや岐阜県オープンといった試合に出るのも難しく、出場試合が限られてしまいます。そこで、僕たちがやらないと、と立ち上げることにしたんです」(桑原)
かくして、ツアー2勝の実績を持つ桑原と、他わずか3、4名ほどのプロが集まり、愛知県プロゴルフ協会は設立された。
巨大都市名古屋を抱え、中日クラウンズ、東海クラシックといったツアー競技も行われる愛知県だが、日本を代表するプロゴルファーというとちょっと名前が出てこない。試合環境を整備することで、草の根から選手の強化を図り、愛知県からゴルフ界を盛り上げたいという意図がそこにはある。
「正直、若い頃は自分たちでスポンサーさんを探すなんて思ってもみませんでした。愛知県オープンも8年前に実施したきり、消滅してしまっています。僕たちの目的は、試合ができることですから、自分たちでスポンサーさん探しから、できることはなんでもと手分けしてやっています。
今の構想では、年間に賞金総額600〜700万円規模の大きい試合を4〜5試合。そして、成績上位者はその大きい試合に出られる“グローアップツアー”を年間4試合ほど実施したいと思っています。やはり、試合に出ることでプロは試合勘が養われますし、大きい規模の試合があれば他の地区からもプロが出場し、それによってレベルが上がりますから」(桑原)
実際、そのグローアップツアーの第一戦は地元企業のMCジャパン株式会社をスポンサーに、今週木曜日に賞金総額35万円で開催。
さらに10月にはこれまた地元企業であるアーレックス株式会社を特別協賛に迎え、賞金総額650万円という“大きな試合”アーレックスカップマッチプレー選手権が名門・愛知カンツリー倶楽部を舞台に4日間競技として開催されるというから、その船出は順調といったところか。
「試合は無料で観戦することもできます。ゴルフ界が盛り上がってほしいですし、選手の顔も売りたいですから。スポンサーさんにも喜んでもらいながら、ゴルフ界を活性化させていきたいですね」(桑原)
愛知発の、プロのプロによるプロのための団体。地方から、ゴルフ界全体を盛り上げるようなうねりとなるか、注目だ。
【愛知県プロゴルフ協会(http://apga.pro)】