世界ランキング現在4位、世界ランクトップ10の中で最年長であるジャスティン・ローズは、1998年にアマチュアとして出場した全英オープンの最終ホールをチップインで締めくくって4位タイとし、その名をゴルフ界に知らしめた。そして翌日プロ転向したが、21連続予選落ちをするなど、プロとしてのスタートは決して順風満帆というものではなかった。
デビッド・レッドベターにコーチを依頼し、2002年にヨーロピアンツアーで初優勝を果たストその才能はプロの世界でも開花、2010年にはタイガーの以前のコーチとしても知られるショーン・フォーリーに師事し、数年をかけて今の安定したスイングを身体にしみこませた。
そのおかげか今ではキャリアでもっとも安定したパフォーマンスを続けている。2010年時の世界ランキングは30位だが、それからは一度も下回ることなく現在ではジャスティン・トーマスに次ぐ4位と好位置につけている。
リオデジャネイロオリンピックでも金メダルをとり、メジャー(2013年の全米オープン)もとっている。ちなみにキャリアハイのランキングは2013年の3位だ。このゴルフ史上もっとも実力が肉薄しているであろう戦国時代において38歳という年でこれだけ安定しているのは素晴らしいとしかいいようがない。
現在世界ランキング、1、2位のダスティン・ジョンソン(DJ)、ブルックス・ケプカのトップで左手首を折ってそのまま打つパワー系のスイングとは違い、ローズのスウィングはシンプルで美しくしなやかだ。
そのスウィングの一番の特徴で、安定の根源となったのはトップポジションの変化だ。フォーリーに師事し彼らがまず取り組んだのが、アップライトだったトップを低くすることだった。トップを低くすることにより、振り抜きも以前よりターゲット方向に抜けるように修正された。
クロス気味だったシャフトもオンプレーンになり、余計な動きが減少した。カット軌道だったスウィングプレーンもストレートになり球の曲がり幅も少なくなり、ドロー、フェードの打ち分けもよりシンプル化でき、安定するようになったのだ。私は以前からフラットワイドスウィング(軌道がゆるやかで、トップでの手の位置が体から遠い)を推奨してきたが、ローズのスウィングはその参考になるもので、スウィングデータ的にも、理屈的にも非常に良い。
アップライトなトップというのは、アマチュアにはとくに多くみられる。その理由として上がられるのは下記だ。
・スウィングが大きくなり、力がでるような気がする
・スウィングに窮屈さがなく、簡単に振れる
よほどヘッドスピードが高く、DJ、ケプカのようにハンドファーストでインパクトできない限り高いトップは推奨できない。高いトップからDJやジム・フューリックのように切り返しでループさせてインサイドから下ろせるならいいが、そのような動きをナチュラルにするアマチュアはほぼいない。
下記の症状で悩むアマチュアは是非ローズが取り組んだようにトップを低くすることを試していただきたい。
・ドライバーでスライスが止まらない
・たまに大きなひっかけが出る
・いいショットがなぜか右に飛んでいく
・ウェッジが左に引っかけがち
上記のような症状に当てはまる方はローズが行った修正をするのをおすすめしたい。
初めは違和感、そしてミート率の低下が懸念されるが、300~500球ほど打てば徐々に慣れていき、それらの症状が軽減する可能性は極めて高い。
では、具体的にどのように修正するのが良いのか?
まず、トップでの右わきが現在どれぐらい空いているかを確認する。おそらくかなり空いているだろう。そこで右わきの締まりを強くすると自然とトップは低くなり小さくなる。窮屈に感じ、小さく感じるだろうが、それはいいサインだ。そしてダウンスイングのおろすイメージだが、左腕(上腕二頭筋)を左胸につけたま胸に沿っておろして行くと良いだろう。
初めは距離も落ちるだろうが、慣れてくればボールの回転数も良くなり確実にローズが良くなったように距離も方向性も良くなるはずだ。練習量と、スウィングチェンジで起こるだろう最初の副作用を許容できるなら多いに試す価値はあるだろう。