富山県の小杉CCで行われた日本女子プロゴルフ選手権は、シン・ジエの2週連続優勝で幕を閉じた。左ひじと右手首を痛めており、とても万全の状態ではないと本人は言うが、終わってみれば2位に9打差をつける圧勝。ジエの強さはどこにあるのか? 3日目に一緒に回った大山志保と、一番近くで彼女のプレーを見ている斎藤優希キャディに聞いた。

大山志保は平常心を称えたが、実は……

「もちろん、ショットの精度が高いのはあります。曲がらないし、グリーン周りも上手いし、パットも入る。さすがだなという感じです。でも、彼女の本当の凄さは、技術以上に気持ちの部分だと思います。今日みたいに雨が降っていて、コンディションが悪くても、晴れているときと、まるでプレーのリズムが変わりません。とにかく落ち着いているんです。

ジエが14番で、ティショットをOBしたんです。私だったらあまり平常心ではいられないと思うんです。でもジエは違う。まるでOBがなかったかのように、いつもどおり歩いていく。このブレない心が、強さなんだと感じましたね」(大山)

画像: どんなときでも“落ち着いている風”なのがシン・ジエの強さの秘密だ

どんなときでも“落ち着いている風”なのがシン・ジエの強さの秘密だ

しかし、実際は少し違ったようだ。シン・ジエのキャディを務めている斎藤さんの見解。

「あれは“落ちついている風”です(笑)。今日はスタート前から“伸ばしたい! 伸ばしたい!”と鼻息が荒かったんです。だから『練習ラウンド通りやろうよ』と言い聞かせていました。OBを打ったときも、『大丈夫、ダボを狙っていこう』と、ジエが落ち着くように努めていました。こちら側がそうやって言うのは簡単です。でも、それで自分をコントロールして、いつもと変わらないようにプレーできるから、彼女はスゴイのです。

言葉をかけたからといって、すぐマインドを変えられる選手というのは、いるようであまりいません。ましてトーナメントリーダーで、さらにこの悪天候ですから。それをコントロールできるのは、やはり彼女がトッププロたる所以じゃないですかね。でも、“どんなときでも落ち着いている”のではなく、“落ち着いている風”ですから(笑)。

いずれにしても、まわりの選手からそうやってみられるのは、ジエの強さですね」(斎藤キャディ)

画像: 悪天候でもプレーのペースが乱れない

悪天候でもプレーのペースが乱れない

2週連続優勝、そして自身初の日本女子プロゴルフ選手権制覇に向けて。最終日のプレー中も、やっぱりシン・ジエは、落ち着いて見えた。

写真/姉﨑正

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