昔懐かしい糸巻きボールも、意外に高初速だった!?
秋のベストシーズンに入り、俄然、飛ばし心に火が点いてきた人も多いのではないだろうか? 米ツアーで話題のタイトリスト「TS2・TS3」、ギリギリでおなじみのプロギア「RS」、筋金入りのブリヂストン「TOUR B XD-3」、スリクソン「Z585・Z785」など、この秋はプロユースモデルが群雄割拠。どれも下馬評が高いだけにモデルチョイスに悩んでしまいそうだ。
さて、そんな中、今日の話題はボールである。つい我々は“飛ぶドライバーない!?”なんていってしまうが、飛んでいくのはいつの時代もボールである。正直いえば、ボールを飛ばない仕様にされてしまったら、ドライバーをいくら高反発にしようが太刀打ちできない。ゴルフ協会がクラブの規定をどんどん変えて飛びすぎを規制といっているうちはまだよくて、ボールの規制強化に踏み切られたら一巻の終わりなのである。
ご存知の通り、今でもゴルフボールは非常に厳格なルールのもとで製造されており、その大きさ、重さ、そして反発性能(規定方式で測定した場合)については、たいていのゴルフボールの場合は同じである。しかし、そうした基本要素をルール内にしていながらも、昔のボールと現在の最新ボールを比べれば、やはり、飛距離面で大きな進化がみられる。初速についてはその上限がルールで定められているので、昔の糸巻き構造ボールもかなり高初速だった。大きく変わったのは、バックスピンの量だろう。
ゴルフクラブも低スピン路線だが、徐々に適正スピン化に変化
どうだろうか。これはボールメーカーのロボットマシンで算出した、ひとつのテスト結果に過ぎないが、クラブとボールの掛け合わせが時代とともに変化していき、その都度、バックスピンが大きく減少してきたことがわかるだろう。
これまで、飛ぶドライバーの説明に“低スピン”と必ずあったこともあり、現在のドライバーにはよほど低スピン弾道を生み出す力があるように思われるが、過去に最新のチタンドライバーで昔の糸巻きボールを打ったところ、パーシモンに比べてもわずか数百回転/分しかバックスピンが減らず、面食らったことがある。もちろん、芯を外せば、現在のヘッドは許容性が高いので大きな違いにはなるが、芯で打っているぶんには極端に1000回転/分も違いが出るようなものではなかったのだ。
ところが、逆に昔のパーシモンドライバーで最新のウレタンソリッドボールを打ってみたところ、平気で1000回転/分以上バックスピンが減った。この時に、現在の低スピンで飛ぶ、ビッグキャリー弾道を作り上げているのは、ボールの影響(働き)によるところが大きいことを再認識したのである。
その証拠に、2年ほど前まではクラブメーカー各社は低スピン構造(主に重心を浅めにした)のドライバーを続々とリリースしていたが、2018年では重心設計も中間から深めに戻りつつあり、低スピンではなく“適正スピンで飛ばす”というようにメーカートークにも変化がみられる。ボールが高い低スピン性能を有しているために、クラブ側で低スピンを狙うとトゥ・マッチ(やりすぎ)になってしまうこともあるからである。
今は、PGAツアーで400ヤード飛ばすプレーヤーが10.5度のヘッドを使用する時代だが、これもボールの低スピン化でロフトを増やしてもバックスピンが極端に増加しないからだ(逆にいえば、ロフトを増やし打ち出し角度を高くしないと、低スピンボールではドロップ気味の弾道が出やすい)。
道具の進化によってバナナスライス(バックスピン過多)を打っているアマチュアはほとんどいなくなったが、その代わりに、低いドロップボール(バックスピン不足)で、チーピンをかましているアマチュアは増えたように感じる。これもボールが低スピン化したのに、ドライバーのロフトを昔の感覚で選んでしまっているためだ。秋の本格ベストシーズン、ニュードライバーを試すなら、まずは10.5度以上を視野にいれたい。見栄を張って少ないロフトを選んでも得することはあまりない、低スピンボール時代であることをお忘れなく。