水曜日の練習日、石川遼選手は朝の練習では体のキレやスウィングのチェックをしながら軽く球を打ち、星野陸也、薗田峻輔、小鯛竜也といった面々と練習ラウンドに出ました。
「飛距離も少し落ちていたが、そこは戻って来ている。あとはフェアウェイキープ50%した中でバーディを80%、フェアウェイを外したところからパーを50%拾えるか、その辺りが勝負になる」(石川)
練習ラウンド後、そう語っていた石川選手。実際、今回のダイヤモンドカップはラフの長さがボールが簡単に見つからないくらいの長さ。50センチでもラフに入れば、パーオンは非常に難しくなるセッティングです。
さらに、フェアウェイが実際に狭いわけではないけれども、線路の先を見たときに幅が狭まっているように見えるのと同様の林間コースならではの視覚効果があり、ティショットにはかなり気を使いそうです。そのあたり、1カ月のブランクがどこまで戻せるか、といったところでしょうか。
昼食を挟んで選手会副会長の薗田峻輔とチャリティやイベントについてアイデアを出しながら積極的に意見を交換したあとは練習場に戻り、朝の練習とは違い、スウィング中のフェースコントロールを重視した練習に着手。フェースをターンさせる向き、そのさいの手首の使い方を入念にチェックし、高くよじれのない弾道を打っていました。
さらに暗くなるまでパッティンググリーンでストロークをチェック。松山英樹選手と同じようにコーチをつけない石川選手は、キャディとメーカーの担当者と意見交換しながら課題や修正点を見つけながら、調整しています。
練習ではストロークを気にしている様子を見せていた石川選手。私的な意見ですが、一度コーチをつけるのもアリかもしれません。最新の計測器を使ったり、伊澤利光プロの甥っ子でもある同級生の伊澤秀憲プロの意見を取り入れるなど、常に情報のアップデートはしてはいる石川選手ですが、コーチの存在は遠回りを防いでくれると思います。
最近ではコーチの役割も変わってきています。たとえばロリー・マキロイやジャスティン・ローズ、ヘンリク・ステンソンなどヨーロッパの選手のコーチであるフィル・ケニヨンはパッティング専門のコーチです。
日本でも、成田美寿々選手らを指導する南秀樹プロや香妻琴乃選手の優勝に貢献した大本研太郎プロなど、“専門家”が活躍しています。コーチの分業制が世界的に進む中、パッティングだけでもコーチをつけると試行錯誤の時間が省けると思います。「上手くなる」ためでなく、「調子をキープする」ためだけでも、コーチをつけるメリットはあるのではないでしょうか。
パットだけでもコーチをつければ、ショットに取り組む時間が増やせますし、パッティングの気づきからショットが良くなることは往々にしてあり得ることです。ショット力が完全に復調した“強い石川遼”の復活は誰もが待ち遠しいところ。そのためには、選手会長の仕事も激務を極める中、練習の一部分だけでも分業制で“外注”する。そんな、世界のトップ選手たちがやっている方法を試すのも、有効な方法ではないかと思います。
初日を2オーバーで終えた石川選手。熱中症からウイルス性腸炎を発症し、入院寸前だったことを思えば、この結果は仕方ありません。これから始まる秋のビッグトーナメントに向け、まずはしっかりと体調を整え、明日2日目の巻き返しに期待したいですね。