大切なのは「飛ばしたいと思って振る」こと!? 265ヤード飛ばす女子プロのコーチに聞いた飛距離アップの真実【動画】

今でこそ260ヤードを超える飛距離を武器としている幡野だが、井上の門を叩いた頃、その飛距離は240ヤードにもまったく届かないものだったという。なんといっても飛距離はツアーで戦うための最強の武器。

幡野が井上の指導の元に取り組んだのは「振る力」をつけるための練習の数々だった。

「8割のパワーで振ったほうが効率よく当たって飛距離が出せる。そう考えるゴルファーは多くいます。この考え方は事実としてあると思いますが、『わたしは飛ばしたい！』と思って練習しないと絶対飛ぶようにはならないのも事実です」（井上）

脱力したほうがミート率がアップして飛ぶ。それも事実だが、自分自身の絶対的な飛距離性能を高めるためには、飛ばしたい！ という強い気持ちを持って、とにかく振る力をつけることが大切なのだと井上は言う。

そのために井上が幡野のみならず成田美寿々、穴井詩といった飛ばし屋たちに課すのが、野球の木製バットでテニスボールを次々に打つトスバッティングドリル。これをやることでなにより大切な「振る力」の出し方を体で覚えることができるのだという。

「トスバッティングの練習はクラブを力強く速く振るためにはとても大事な練習になります。通常のトスバッティング以外にも、軽いバットを速く振ったり、片手で軽くて短い子供用のバットをスウィングしたりと、いろんなバリエーションでバットを振ったりモノを振ったりっていうドリルを、夏生にはやってもらいました。いろんな道具を振っていくことによってまずは振る筋力が身に付きます。振る筋力が身に付くとクラブをコントロールする技術が身に付くんです」（井上）

しかし一般的なアマチュアにはトスバッティング練習をする環境を整えること自体が難しいが……我々にも気軽に実践できるドリルはないだろうか。

「最初に言ったように『飛ばしたいっていう気持ちでスウィングすること』がすごく大事です。軽く振っているだけだとトレーニングの強度が弱いのであまり飛距離アップできません。だから普段の練習の中で飛ばしたいと思ってしっかり振る、その中でバランスのいいフィニッシュをとる。これを意識してみてください」（井上）

飛ばそうとしっかり振っても、バランスのいいフィニッシュをとることを意識することで、極端な振り過ぎにはならないと言う。身長160センチの女子プロが265ヤード飛ばす。その背景には、技術だけでなく「飛ばしたい！」という思い、そしてそのための地道な練習があったのだ。