ゴルフ協会はこの10数年、トッププレーヤーの飛距離アップを気にしている
ゴルフ界の飛距離問題といわれても、一般ゴルファーにとっては“何が問題なの?”という感じであろう。ゴルフ協会はトッププレーヤーの大きな飛距離をここ10年来すっと“問題視”しており、2008年にフェースの高反発規制が始まるなど、実際に飛距離がこれ以上伸びないよう、ゴルフクラブ製造に関する様々な規約を変えてきた。
今回、世界中のゴルフ関係者に対し、ネットアンケートという形で意識調査を始めた背景には、ゴルフビジネスと飛距離の関係の深さ、そして、それとは別のいちゴルファーとしての問題意識を探る目的があると設問に答えながら考えていた。
アンケートに答えてみればわかるが、これに答えることで自らのゴルフ観が浮き彫りになっていく気がするからだ。自分が飛距離に対してどう思っているのか? それが見えてくるのである。
ご存知のように、今のゴルフ界は過剰ともいえるほど“飛距離アップ”にフォーカスしている。ゴルフクラブのあり方はもちろん、レッスン記事のキラーコンテンツとしても、飛距離アップは欠かせない。それが残すべき結果、最大のユーザーベネフィットであるのだ。
ゴルフで飛距離が問題となっていると思うか? あなたならどう答えますか?
アンケートの設問内容を把握するために、最初、設問に答えずに次々にページを送っていった。しかし、ある質問だけは答えをチェックしなければ進めないようになっていた。その設問が「ゴルフで飛距離が問題になっていると思いますか?」というもの。
○大きな問題だ
○些細な問題だ
○問題になっていない
○わからない
そのどれかをチェックしなければ、先には進めない。つまり、ゴルフ協会が最も知りたいのがそれなのだ。
私は、●大きな問題であるとしたが、おそらくこの問題意識はゴルフ協会が危惧している飛距離問題とは違うところにあるだろうと思った。なぜなら、私が問題だと感じているのは、大きな飛距離アップが及ぼすゴルフへの影響ではなく、ゴルファーが大きな飛距離を得ようとし過ぎてしまうこと、それ自体への懸念だからである。
たとえば、ドライバーの飛距離を求めるがゆえに、14本のクラブの中でドライバーが別物になってしまう危険性。それが与えるゴルフプレー(流れ)への影響、スポーツ障害との関係性など。飛距離結果のいかんではなく、本来、さほど飛ばない動きしかできていないのに、道具の力で飛ぶようにしようと頑張ってしまうことで起こっている問題も、技術革新が成熟した今の時代では出てきているような気がするのだ。※これはあくまでも個人的見解。
飛距離問題といわれているが、大事なのはゴルファーひとりひとりが飛距離とどう向き合うのか、飛距離をどう考えるのかであると思った。そのきっかけとしては、こうした意識調査に協力してみるのも悪くはない。やってみれば普段は気付かない自分の気持ちがわかるはずだ。