ダウンブローが強くなり過ぎていた
今シーズンはトップテンも4回あるものの、予選落ちも8回とやや安定しない成績だった大江香織。実際、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン開幕前の賞金は1700万円ほどで、目標は優勝どころか来季のシード権確保だったという。
大江を高校時代から指導する阿河(あが)徹によれば、ほんの3週間前の「日本女子プロ」で予選落ちしたときは、「まったく当たらない」とこぼすほどだったという。
「日本女子プロで予選落ちしたあと、珍しく私が普段レッスンをしている練習場に来たんです。そこでじっくり話をして、現状の分析と進むべき方向性を確認しました。彼女は調子が悪くなるとダウンブロー(傾向)が強くなり過ぎる。それを改善するために構えとテークバックを少し変えたら入射角や軌道がいい方向に改善されました」(阿河)
結果、優勝前週の「マンシングウェア東海クラシック」では今シーズン一番というくらい調子がよくなったのだという(結果は38位タイ)。
「改めて考えると高校生のときから『良くなるとこうなる』というという傾向が彼女にはあるのですが、年齢を重ねてもやっぱり同じところに(修正ポイントが)ハマるんです」(阿河)
1990年生まれで現在28歳の大江が調子を戻すために求めた感覚は高校3年生、18歳の頃のスウィング感覚。弾道計測器やビデオなどを使って、その“感覚”を可視化、あるいは数値化し、それをベースにレッスンすることで、「当たらない」状態から優勝をつかむまでに、感覚を蘇らせられたのだ。
大江本人と電話で話した際に「あんなに当たらなかったのに2週間でこんなに変わるものなんですね」という言葉が出たと阿河。トップクラスの選手でもスウィングの感覚を取り戻すのは難しい反面、取り戻せば優勝まで手に入れられることがわかる。
プロと違ってアマチュアは“日替わりスウィング”かもしれないが、それでも調子のいいときのスウィングは、動画や弾道計測器などで記録しておくと、スランプからの立ち直りが早くなる、かも。