井上:(幡野は)僕から見てるとすごい能力の高い選手なのは間違いないんですが、スコアを見てみると前半が結構良くて、後半から悪くなるパターンが多いです。途中でミスがあるとそれが連鎖してしまう。これは誰にでもあることなんだけど、ちょっと量が多いかなと。それについては自分でどう思う?
幡野:スウィングに対しての不安がそのままスコアに出ちゃうのかな。前半は結構「今日は気持ちいい、いけるわよ私!」って思って(スコアも)いいってことがあるんですけど、休憩を挟んだりすると、考えすぎてしまうのか、インパクトで開いて右に飛ばしてしまったりそれを嫌がって逆に左にプルしたりして、流れを崩しちゃうことが多いなって思います。
井上:元々シャット系のスウィングだったのを、オープンに変えて、今それがちょっと過剰になってる……という感じかな。アマチュアの方でも、カット軌道を直そうと思ったらインサイドアウト軌道になってしまったり、オープンだって指摘されたら今度はシャットがキツくなったりだとかという経験があると思います。上達の過程の中では誰にでもあることなんですよね。どんなトッププロでも感覚っていうのは日々ちょっとずつ変化したり、ラウンド中のミスショットに対しても違和感を覚えたりするんですけど、その後の「ごまかし方」がうまいんです。
たとえば男子だと、一発ボンと左に曲がった後に「ドロー気持ち悪い」って思ったらその後全部フェードで打ったり、「普通に打つのが気持ち悪い」ってなったら低い球ばかり打ったり。使える感覚、今日戦える感覚だけで勝負する、っていうことが多いですね。
だから考え方は二つ。ミスショットして気持ち悪くなったら、“その感覚をラウンド中に修正する”のか、”使わないで迂回する”のか。夏生は迂回する?
幡野:「気持ち悪い~!」って言いながらそのまま突っ走る(笑)。
井上:(笑)まあ多くの場合は、気持ち悪くなってしまった感覚をラウンド中に修正するのは難しいですよね。一発ミスショットして調子を崩すと、フィーリングが復活するまでの4~5ホールでボギーがドンと出てしまう。(幡野の場合は)感覚をロストしてから復調するまでの時間が結構長いのと、ロストしたときの悩み方が深い。
技術がないというよりは、戦い方っていうのかな。18ホールという長丁場を3~4日間、いかに自分の感覚をキープしてうまく戦うかっていうのを覚えてもらえるといいかなと。いろんな技術を覚えるのもいいけど、いい意味でのごまかし方も覚えてほしいなと思いますね。