狼の見た目と天使のやさしさを兼ね備えている
プロが監修したクラブは世に多くある。それは、プロが使うための道具だ。また、世にはアマチュア向けのクラブが星の数ほどある。だが、プロがアマチュアのために作ったクラブは、それほど多く存在しない。
プロゴルファー・吉田一尊は、かつてツアーに挑み、後にティーチングの道に進んで成功を収めながらも、それに飽き足らずにクラブ作りに身を投じた、スウィング・レッスン・クラブ、そのすべてを深く知る稀有な経歴を持つ男。つまり、アマチュアのためのクラブを作ることのできる数少ないプロの一人。
そんな吉田が、現段階での集大成として作ったドライバー。それが「グランディスタ RS-D(以下、RS-D)」。「みんなのゴルフダイジェスト商品開発部」第二弾ドライバーのヘッドだ。見た目には、まるでツアープロのバッグに収まっているのが相応しいプロモデル。しかし、いざ打ってみると、驚くほどやさしい。
「このドライバーで実現したかったのは、ドライバーの“やさしさ”の再定義です」そう吉田は語り始める。
「大きなヘッドで、スウィートエリアが広いのも間違いなく“やさしさ”です。しかし、ヘッドが大きすぎてインパクトまでにフェースがスクェアに戻せなかったら意味がありません。このクラブは、ヘッド体積は445ccと小ぶりですが、ヘッドの重心特性上フェースが開きにくい。『芯が広い』より『フェースが開かない』ことのほうがアマチュアにはメリットが絶対に大きい。そして、そのようなクラブは非常に少ないんです」(吉田)
PGAツアーの選手は、身長が180センチ、190センチを超える大男でありながら、ドライバーは45インチに満たない長さで組んでいる場合が多い。吉田によれば、世界のトップ選手にとっても、今のドライバーは“振りにくい”のだという。
「RS-Dは、小ぶりにすることでまずは“振りやすさ”を確保しています。そして、重心距離は短く、重心深度は浅めに設定。これにより、ボールのつかまりに大きく影響する重心角を大きくし、低重心化することでスピン量を少なくしています。だから、振りやすく、つかまり、低スピンの弾道を打つことができるんです」(吉田)
クラブに詳しい人ならば、ここで疑問が生じるはずだ。重心が浅いということは、たしかに低スピンにはつながるかもしれないが、同時に球の「上げにくさ」にもつながるのではないか、と。RS-Dには、ボールを上げるための工夫がある。
「クラウンの頂点からトップエッジにかけての角度を急にしてあります。そのことにより、ヘッド自体が球体に近づき、たわみ量が増えるんです。ヘッドのたわみが大きくなると、インパクトロフトが増えてボールは上がりやすくなる。重心角は浅いけれど、上がりにくさはありません」
振りやすさをヘッド体積で。ボールのつかまりを重心設定で。そして上げやすさを設計で、それぞれ最適化しているということだ。そして、吉田がこだわり抜き、「性能的に合わない人でも、顔の良さは誉めてくれます(笑)」と言うほどの“いい顔”も忘れてはいけない。
職人が一本一本手巻きしている「下町シャフト」との奇跡のマッチング
カッコよくて、つかまりも良い。理想とするヘッドは見つかった。となると、最後のピースは「スピード」ということになる。
そうなれば、残るミッションは、このヘッドに合うシャフト選びだ。相談したのは東京の下町で職人が一本一本手巻きでシャフトを製造し、小規模メーカーとは思えぬ異様なまでに厳しい検品を行うことでも知られる“下町シャフト”メーカー、シンカグラファイト。
ツアープロが使用して勝利を重ねている同社の看板モデル「LOOP」の全モデルをRS-Dと組みわせて、吉田自らがひたすら試打を繰り返し、データ面、フィーリング面からベストと呼べるものを探した結果、ついに最高にマッチするシャフトが見つかった。LOOPのラインアップの中でも最速のしなり戻りを誇る超高速シャフト「バブルライト」だ。
「驚きました。シャフトの完成度がすごく高いんです。軽量でヘッドスピードを上げてくれるシャフトでありながら、振り心地に頼りなさは皆無。それでいて、しなったシャフトがしなり戻ってボールを弾き飛ばしてくれますし、そのしなりでRS-Dの飛距離の最大化する高弾道を実現してくれます。腕相撲で絶対に勝てない人を飛距離で圧倒することができる。そんなイメージですね」(吉田)
フレックスの表記のないカスタム仕様なのは、人間「S」と書かれていれば「硬いかな」と感じるし「R」と書かれていれば「柔らかそうだ」と先入観を覚えるから。このシャフトはよくしなるが頼りなさはなく、シャープな振り心地を持つが硬さを感じることはない。
カッコ良さとつかまりの良さ、そして低スピン性能を兼ね備えたヘッド。超高速のしなり戻りでボール初速を高め、高打ち出しを実現するシャフト。この両者の出会いによって完成したのが、みんなのゴルフダイジェスト商品開発プロジェクト第二弾「グランディスタ RS-Dカスタム」だ。
【スペック】
グランディスタ RS-Dカスタム
ロフト:10度
ヘッド体積:445cc
総重量:302〜304グラム
シャフト長さ:45インチ
シャフトフレックス:マルチ
バランス:D2
適合ヘッドスピードは40メートル/秒前後。ヘッドスピード38から43といったところがストライクゾーンだ。それよりヘッドスピードがない人にとっては、ちょっとスペック的に厳しい。今がゴルフ盛りというゴルファー、しっかり振れるゴルファーにこそ、手に取ってもらいたいスペックとなっている。球筋でいえば、スライス傾向の人ほど威力を発揮させることができるだろう。
ただし、ヘッド、シャフト、グリップも含めたプロダクトとしての完成度の高さからくる高い所有感は、すべてのゴルファーに自信を持って勧められる。構えたときのカッコ良さは、それだけでナイスショットを予感させてくれるはずだ。
シャープな形状から放たれる、中弾道のドローボール。目指したのは、球筋にまでこだわりたいゴルファーのバッグの中で長く相棒になってくれる1本。そう成り得る性能が、この一本には詰め込まれている。
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